天と地の空
ビルの間から天の川は見えないが
天から見下ろせば光の川が見える
空には月 雲 ほんの少しの星
所在なさげにきらめいて
地には光 音 匂い
とにかく華やかに 派手やかに
首を伸ばして見上げてみても
その先のちいさな光は目に見えず
地の光に晒されているばかり
天と地の
ふたつの空に挟まれて
人は流れ行く
流れ 流されて
俯いて 空を見上げることもなく
地にしかない空の一部と気づくこともなく
人々が行く
空の星は掴めなくとも
手の中で四角く光る星は掴めるが
それが星だとは気づかない
それが星に見えるのは
空から見た時だから
その景色は空にいる
星たちだけの特権だから