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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

地獄にします?天国にします?それとも・・・

作者: た〜

「地獄にします?天国にします?それとも 地・縛・霊♡?」

そんな食事かお風呂かそれとも・・・、みたいなノリで聞かれても困る。それも若い女性とかならともかくさえないおっさんになんてキモいだけ。誰得だよ

「あぁ堂島さん心の声ダダ漏れはですよ」

さえないおっさんが愛想笑いで凝り固まった顔で苦言する

「幽霊になると心の声ダダ漏れになりやすいですからご注意を」


「おほん。堂島翔さんですね」

わかりきっているけれど規則ですのでとでも言いたげな口調で確認してくる

「そうだけど」

一応返事をするが無愛想な口調になっていることが自分でもよく分かる

「もうお気づきとは思いますが、貴方はお亡くなりになりました。」

だろうな。さっきまで自転車に乗って下り坂に差し掛かったと思ったら前輪のブレーキが吹っ飛んで前々から後輪の方は不調だったのを『前輪があるから大丈夫だろう』と、修理をサボっていたから減速しようがない。道の先は急カーブ、そのままガードレールに突っ込んだと思ったらお空にダイブ。しかもヘルメット未着用。行き着く先が病院じゃない上にどこも痛いところがないのだから死んだと考えるのが自然だろう


「それで最初の質問なのですが、行き先は天国にします?地獄にします?それともこのまま地縛霊になりますか」

自分で選ぶものなのか?


「あんた、閻魔大王的な人」

一応聞いてみる

「いいえ公務員です。あ、申し遅れました。私こういうものです」

名刺を渡してくる


「んと、労働厚生省特殊事象部幽霊対応室 大西洋(たいせいよう)さん?」

「いいえ、おおにし・ひろし、です」

愛想笑いを張り付かせたまま訂正する。ちょっと言葉にトゲがあるかも?一応謝っておこう

「いえいえお気になさらず、いつものことです。親の名付けセンスにムッと来ただけです」


「ところで死後の世界にも公務員ってあるんですね」

死んでまで働かされるのかよ

「いえいえ、私は生きた人間ですよ。視えちゃうタイプなのでご縁があってここで働かせてもらっております。

どころで堂島さん、誰でも一度は死ぬのにそれに対処する部署が『特殊』だなんておえらいさんはセンスがないと思いませんか」


どうでもいいがな


「で、人間のあんたが死人の俺を裁こうってわけ?」

「裁くだなんてとんでもない。ご案内させていただくだけですよ。第一生前の堂島さんのことなんて何も存じませんから。それに天国と地獄がどんなところなのかも知りませんし」


へ??


「なんで知らないんだよ」

「天国のことですか、それとも堂島さんのこと?」「両方」


普通死者のことも死後の世界のことも知り尽くしているものじゃないのか


「毎日毎日どれだけの方がお亡くなりになっていると思うのです。いちいちどんな人間だったかなんて調べる暇なんてありませんよ。私も人間ですから覚えていられませんし」

なにを当たり前のことを聞くのだ、という口調

「それに私死んだことありませんので死後の世界には行ったこと御座いません。死後の世界から戻ってきた人も居ませんし。分かるのは天国にも地獄にも行かないと幽霊になってしまうということくらいです」


「幽霊って多いの?」

「そこら中にうようよいますよ。ちなみに堂島さんみたいに不慮の事故で突然なくなった方は大抵地縛霊になりますね。特定の方に強い執着がある人は背後霊になりますね。執着するものがないと浮遊霊になることが多いですね」

なんか無駄な知識を披露された


「そんなわけで意に反して幽霊になってしまう方を減らすために私達の部署があるわけです。幽霊になりたい方を無理やり天国か地獄かに逝かせるわけにもいきませんが、思っていたのと違う幽霊になってしまったとお怒りになる方もいますので、どんな幽霊になりそうかも合わせてご案内しているわけです」


ご苦労なことだ。


流石に事故現場に縛り付けられるのは御免被るので地縛霊になる選択肢はないが、名前につられて天国に逝っていいのか思い切って地獄にしたほうがいいのか


えーい、ままよ


「それでしたらあちらの扉へお進みください」

「あんたは入ってみたりしたことないの」

聞いてみた。俺なら興味から入ってみたかもしれない

「残念ながら生きていると入ることはもちろん向こう側を見ることもできないようです」

そんなものかもしれない。


「それでは御冥福をお祈りいたします」

この場にふさわしい(のか!?)挨拶に送られる。


そして扉は開かれる。


Fin

をゐ、天国行と地獄行き中は繋がってんのかよ

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