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第13話



 「その製薬会社が、ウイルスを広げた…?」


 「うん」


 「…いやいや、あり得ないだろ」


 「なんでそう思うの?」


 「だって、ニュースでは確か…」


 「情報を操作しようと思えば、いくらでもできる。とくに、世界的に影響力のある企業の後ろ盾を利用すれば、ね?」


 「じゃあ、ニュースで流れてるのは全部嘘だっていうのか??」


 「んー、どうだろうね。生憎、日本に来たのが久しぶりすぎてね。どんなニュースが流れてるのかもわからないんだ」



 日本に来たのが久しぶり???


 どういうことだよ。



 …そうか、でも、攫われたって言うんだったら、あり得る話…なのか?


 久しぶりってどれくらいなんだ?


 まさか、10年!?



 「とにかく、ソイツらに追われてるの」


 「その、製薬会社に?」


 「信じてないでしょ?顔がそう言ってるもん」


 「…信じてないっつーか、イマイチ話が入って来ないんだよ」


 「そういえば、ご飯は?」


 「は?」


 「晩ご飯。食べてないんでしょ?」



 食べてないけど。


 生憎お腹は空いてない。


 空いてたけど、それどころじゃなくなった。


 コンビニでチャーハンを買ってた。


 作ろうかなとも思った。


 ただ明日が早いから、簡単に済ませることにしていた。


 買い溜めしてた唐揚げとかも、冷凍庫にあったから。



 「いい加減身構えるのやめたら?そんな壁際に立ってないでさ?」



 ギクッ



 身構えてるつもりはなかった。


 ただ、落ち着いてはいられなかった。


 隣に座れば?って言ってくれてる。


 …多分、危険はないだろうと思う。



 問題は、…だな



 …その、色々と追いつけてないんだよ


 「追われてる」とかって言うしさ?



 「アカリは、大丈夫なのか?」


 「ご飯?」


 「じゃなくて、こんなところでのんびりしてていいのかよ」


 「他に行くとこないし」


 「警察は?犯罪者に追われてるんだろ?だったら…」


 「日本の警察なんて役に立たない。自分の身は自分で守る。アイツらは、ここがどこだろうと平気で人を殺すような連中なんだ。下手に表に出ない方がいい」


 「じゃあ、なおさら警察に行った方が…」


 「言ったでしょ?“役に立たない“って。アイツらは化け物揃いなの。”ただの人間”じゃ太刀打ちできない」



 …どういう、…意味だ?



 化け物揃い?



 ますます、訳がわからない。


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