6話 たむ神様(仮)
「ねこにゃーんこ!」
ぽふっ。
「ねこにゃーんこ!」
ぽふっ。
「ねこにゃーんこ!」
ぽふっ。
みなさまこんにちは。
過ごしやすくなった秋の昼下がり、私は寝転がってネット小説を読み耽るという自堕落な休日を楽しんでおります。
「ねこにゃーんこ!」
ぽふっ。
「ねこにゃーんこ!」
ぽふっ。
そんなことより気になることがあると?
ああ、これはたむが奇声を上げながら、こたつの上から私の腰に飛び降りて遊んでるんです。
このぽふっとする感触がいい感じなので、奇声はうるさいですが放置しています。
どこからきたのでしょうね、この謎の掛け声は。
「ねこにゃーんこ!」
ぽふっ。
「すぴー、すぴー」
飛び降り疲れたようで、私の腰の上で急に寝落ちしました。腰があったかいのでこのままにしておきましょう。
たむにも適当に毛布をかけておきましょうか。
たむを落とさないように毛布の山に手を伸ばし、適当に掴んだ1枚を適当にたむにかけます。
まあ、たむにかけるというか、私が毛布を被れば必然的にたむも毛布に入りますので適当でいいんですよ。
それにしても、ぬいぐるみたちの寝床には見たことのない毛布が何枚もあります。
あれはどこから来たのでしょうか。
おそらく、たむ達ぬいぐるみを動かしている座敷童だか浮遊霊だか妖怪だかが与えているのでしょう。
いえいえ、決して文句を言っているわけではないのです。
ただ、たむ達を動かしているのは誰なのか、たまーに気になるというだけなのです。
まあ、世の中には知らない方がいいこともありますから、そこは深掘りしないでおきましょう。
でも、「たむ達を動かしている誰か」では呼びにくいですよね。
そうだ! 「たむ神様(仮)」とお呼びしましょう!
なんとなくありがたい雰囲気で、いい感じだと思うのです。
たむ神様(仮)、いつもありがとうございます。なむなむ。
お饅頭をお供えしておきますので、お納めください。
そのお饅頭はいつの間にか綺麗になくなっていたのでした。なむなむ。