43話 子守唄
みなさん、こんにちは。
ようやく秋らしい気候になってきましたね。毎年のことになってますが、暑くて暑くて長くて長い夏がようやく終わってホッとしております。
私は秋が1番好きですので、長くなるなら夏ではなく秋にしてほしいところです……。
さて、私にとっては「涼しい」でも、たむにとってはもう「寒い」になるらしく、ひっきりなしに毛布のおねだりをしてきます。
仕方がないので薄手のを1枚かけてあげてるのですが……。
「ちょっちゃん、眠いんでしゅか?」
「眠くないよ」
「ちょっちゃん、眠くなりましぇんか?」
「ならないよ」
「ちょっちゃん、お昼寝しましぇんか?」
「しないよ」
「ちょっちゃん、たむが子守唄を歌ってあげましゅからお昼寝しましょう」
「…………」
いつものことですが、たむがちょっちゃんにしつこく絡んでいます。
今日は子守唄が歌いたかったようです。
どちらかというと、たむは歌われる側だと思うのですけどね……。
「ねぇちょっちゃん〜、お昼寝しましょうよ〜」
「……はぁ、じゃあ早く歌ってすぐ終わって」
「わーい!」
たむはしつこくて折れないし引かないので、ちょっちゃんが根負けして諦めたようです。可哀想に……。
「ねむねむね〜む〜、ね〜む〜む〜♪」
「…………」
「ねむねむね〜む〜、ね〜む〜む〜♪」
「…………」
…………初めて聞く子守唄ですね。たむのオリジナルなんでしょうか?
手だか前足だかでちょっちゃんをあやしているつもりなのか、ちょみちょみぺちぺちと突いているのは大変かわいらしいですが。
「ねむねむね〜む〜、ね〜む〜む〜♪」
「…………」
「ねむねむね〜む〜、ね〜む〜む〜♪ 寝ましたか?」
「まだだよ」
「しょうでしゅか」
ところで、他に歌詞はないんでしょうか?
延々と同じ文言を繰り返しているので、ちょっちゃんもイライラしてきているようですし、私も鬱陶しくなってきました。
たむが歌うといつもそうなんですよね。長文が覚えられないからなのでしょうが、短い歌詞を延々と繰り返すのでそれがみんなに嫌がられる要因だと思います。
「ねむねむね〜む〜、ね〜む〜む〜♪ 寝ましたか?」
「まだだよ」
「しょうでしゅか。ねむねむね〜む〜、ね〜む〜む〜♪ 寝ましたか?」
「……まだだよ」
「しょうでしゅか。ねむねむね〜む〜、ね〜む〜む〜♪ 寝ましたか?」
「…………。うるさい! もう終わって!」
べちっ!
「びえーん、ちょっちゃんが叩きました! 痛いでしゅー!!」
「もう知らない!」
ちょっちゃんは我慢の限界だったようです……。
本来なら叩いちゃダメって怒るべきなのでしょうが、心情的にはちょっちゃんが被害者なんですよね……。
とりあえずたむを撫でておきましょう。
「よしよし」
「えーん、たむの子守唄終わってないんでしゅー」
「えっ……」
「ミサキちゃん、お昼寝しましょう」
「しないよ! もう十分聞いたよ!!」
「ねむねむね〜む〜、ね〜む〜む〜♪」
「勝手に歌い始めるな!」




