41話 きゅいちゃん
ふっふっふー。
暑い時は海の生き物ですよね。
私はカナヅチなので海に入りたいとは思いませんが、水族館は好きですし、海の生き物のぬいぐるみも好きです。
今はもうありませんが、子どもの頃はペンギンの赤ちゃんやアザラシの赤ちゃんのぬいぐるみを可愛がっていました。
そんな私が、久しぶりに海の生き物のぬいぐるみをゲットしましたよ!
衝動買いですが、なにか?
お値段3ケタですし、別にいいじゃないですか。
さて、私がなんのぬいぐるみを買ったかですが……。
それは! なんと!
メンダコです!!!!
片手にちょうど乗るサイズで、濃いピンクで裾が広がったようなフォルム。
目は「・・」で、口は「∨」です。かわいい。
目があった瞬間に「きゅい!」って鳴き声が聞こえたので、名前はきゅいちゃんです。
買う前に名前を付けてしまったのは初めてですが、きゅいちゃんです。
え? メンダコは鳴かない? そもそもぬいぐるみは鳴かない?
いえいえ、ぬいぐるみの鳴き声は愛好家の耳にはちゃんと聴こえるのですよ。
ねえ、全国の同志の皆様。そうですよね?
というわけで連れ帰ってきたきゅいちゃんを連れて部屋に入るなり……。
「きゅい!」
元気に鳴いて、ぴょーんと跳んでいきました。
定位置でいつも通りうだうだしている先住ぬいぐるみたちのところへ行くきゅいちゃん。
「みんな、メンダコのきゅいちゃんだよ。仲良くしてあげてね」
「かわいいでしゅ!」
1番反応を示したのはたむでした。
「きゅいちゃんはなんて名前なんでしゅか? タコ子ちゃんでしゅか?」
ぎゃー! なんでそんな変なことを言い出すのでしょう!?
メンダコのきゅいちゃんって言ってるじゃないですか!?
たむ神様(仮)がそっちを採用してタコ子ちゃんになってしまったら、どうするんですか!?
「たむ! 名前はきゅいちゃんだから!」
「……そうでしゅか」
なんでそんな不満げなんですか!?
「きゅいちゃん、かわいいでしゅー。ちっちゃいからひとりでいたら危ないでしゅよ。たむと一緒にいましょうね」
私の部屋の中でどんな危ないことがあるのやらという感じですが、まあ仲良くしてくれるならいいことです。
ああっ! そんなことを言いながらたむが自分できゅいちゃんを轢いています。
たむは自分の大きさ、特に横幅を把握していないようで通れない細さのところを通ろうとしている姿をたまに見かけます。
今も、きゅいちゃんのギリギリ横を通ったつもりなのでしょう。
「かわいいね。かわいいね」
ちょっちゃんが横から手を伸ばしてきゅいちゃんを引き寄せ、執拗に撫でています。
きゅいちゃんは嫌がってなさそうなので、まあいいとしましょう。
その後も、寝ているヒツジ以外とは仲良くなれたようでした。
愉快な仲間たちが一体増えましたよ! 嬉しいです!




