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わがはいは、たむである(不定期更新中)  作者: 紅葉月


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35話 毛布が心配

「そわそわ、そわそわ」


 たむが「そわそわ」と言いながら、そわそわしています。


 たむ神様(仮)のご趣味なのか、たむは擬態語もわざわざ口に出して言います。「じたばたじたばた」って言いながらじたばたするような感じです。

 マンガだと吹き出しの外にそういった擬態語とか、「ガーン」とか「しょぼーん」とか書けるので便利なのですが、ここは漫画の世界じゃありませんからね。

 どうしても表現したければ口で言うしかないのです。


 それはさておき。

 ここは縁側です。たむは網戸の外を心配そうに見つめながら、そわそわしているのです。

 網戸の向こうにはなにがあるのでしょうか?


 そこには我が家の庭があり、物干し竿があり、そしてそこには毛布が干してあります。

 そうです。

 たむは干してある毛布が飛んでいかないか心配で心配で、ずっとそわそわしているのです。


 毛布は今日の早朝から私が車に積み込み、コインランドリーで洗ってきました。

 それを干して、乾いたら仕舞い込むのです。

 だってもう暑いですから。それに、浴室乾燥機なんて無い古めかしい我が家では天日干しするしかありませんので、梅雨入りする前にやってしまわないといけませんから。


 世間一般では毛布ってどうやって片付けているんでしょうね? 干すだけ?

 でも私の毛布はすりすりしまくっているので、やっぱり洗った方がいいと思うんです。


「ああっ!」


 たむが悲痛な声をあげていますが、安心してください。風が吹いて毛布が揺れただけですから。

 我が家の毛布は昔ながらの分厚くて重いやつなので、地面に落ちてしまうことはあっても飛んでいくことはありえません。たむの心配は杞憂です。


「ミサキちゃん、まだ毛布をお外に置いておくんでしゅか? たむは心配で仕方ありましぇん」

「だってまだ乾いてないからね。今日だけじゃなくて明日も干すよ」


「しょんなひどいことしたら可哀想でしゅ!」

「いやいや、ちゃんと乾かさないとカビちゃって、その方が可哀想だからね」


「でも、もしもお空のかなたに飛んでいったらって思うと、心配で仕方ないんでしゅ」

「それは絶対ないから」


「適当なことを言わないでくだしゃい!」

「ええ……」


 思い込みの激しい奴め。


「毛布は干してるの以外にもいっぱいあるでしょ?」


 干してあるのは私と両親が使っていた毛布だけで、たむがたむ神様(仮)の気まぐれでもらった毛布はそのまま山積みになっています。

 これらの毛布は、きっと夏になったらたむ神様(仮)が回収してくれると信じているので洗う気はありません。

 だってすごい枚数なんですよ! 全部洗いに行ったらいくらかかるか……。そして、どれだけの重労働になるか……。


「あれはあれで、これはこれでしゅ」

「…………」

「この世界の毛布は全部たむのものなんでしゅ!」

「…………」


 あれですか。俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの、ってやつですか?

 どこぞの国民的アニメのガキ大将みたいな考えですね……。


「毛布しゃん、早く乾いて帰ってきてくだしゃいね」

「乾いたら片付けるんだよ」

「ええっ!?」


 たむはずっとわーわーギャーギャー言っています。

 毛布に挟んでしまい込んでやりましょうか?

 いえ、きっとそれもたむにはご褒美でしかないですね……。毛布に埋まってずっとぼーっとして寝てられるんですから。


「ああっ! ミサキちゃん、強い風が吹いていましゅ!」

「いやいや、ちょっと毛布がそよいでるだけだから。強い風じゃないから。飛ばないから」

「心配でしゅ……。ああっ!」

「…………」


 これ、明日もやらないとダメですか??

 もう疲れたのですが……。


「ああっ! ミサキちゃん!」

「うるさい!」

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