32話 たむと桜餅
突然ですが、私は関西人でございます。
ですので、桜餅は関西風の粒々とした生地であんこを包んだタイプしか食べたことがありません。
近隣のお店にも関西風しか売っていませんし。
さて、桜はもうとっくに終わりました。
しかし! 桜餅は! まだ! 終わっていない!
何を言っているのかですって?
桜は散っても、桜餅は売っている限り食べ続けるという意味ですよ。
私は桜餅が大好きですので。
もう少しすると柏餅に取って代わられてしまうので、あるうちに力一杯食べておかないといけません!
スーパーならば年中売っているかもしれませんが、私が買うのは近所の小さな和菓子屋さん(お餅屋さん?)なので、季節ものはその季節にしかないのですよ。
いちご大福と桜餅をセットで買うのが最高です!
「ミサキちゃん、このあんこの皮なんなんでしゅか!?」
たむが桜餅のあんこだけ食べようとしてうまくいかず、手(前足?)や口の周りをベッタベタにしながら怒っています。
桜餅の餅を取り除くのは無理でしょう。
というか、それは私の桜餅です!
たむにはあんこだけをお皿に盛っておいたのに、いつの間に!?
「それ私の桜餅! なんで勝手に食べてるの!?」
「このあんこの皮は全然剥けましぇん! なんででしゅか!?」
「だから餅は皮じゃなくてそのまま食べるの! じゃなくて、私の桜餅を勝手に食べないでって言ってるの!」
「えーん、ベタベタで気持ち悪いでしゅー! なんとかしてくだしゃいー!」
「だから、私のを勝手に食べるからでしょ!?」
腹立たしいので放っておきたいところですが、餅が取れなくなっても困りますし、カーペットなんかに付いても困ります。
仕方なく濡らしたタオルで拭き取りました。
とても取りにくかったので、八つ当たりも兼ねて力一杯拭いてやりましたとも。
「ミサキちゃん、乱暴にしないでくだしゃい。痛いでしゅー!」
「うるさい!」
「えーん」
ようやくたむはキレイになりましたが、まだべそべそと泣いています。
泣き顔を撮影する気にもならないので、私は桜餅を買い直すために和菓子屋さんへ行きました。
すると……。
「急にいっぱい予約が入っちゃって、桜餅の葉っぱがもう無くなっちゃたのよ。今年は予告なく終わっちゃってごめんねー」
なんということでしょう……。
最後なら最後だと噛み締めながら味わって食べたかったのに。
帰ってもまだめそめそと泣いているたむを見たら、私の方が泣きたくなってきました。
「桜餅、桜餅食べたかったのに……」
やむなくスーパーで買った桜餅がまさかの粒あんで、こしあん派の私はさらに落ち込んだのでした。
お祓いにでもいきましょうか……。
お祓いなんかに行ったらたむ神様(仮)も祓われてしまうかもしれません笑笑




