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3話 たむと愉快な仲間たち

 ぬいぐるみのたむが動き出した翌日、その仲間たちであるぬいぐるみも動き出した。

 奇跡の大盤振る舞いすぎじゃなかろうか。

 まあ、たむだけだと寂しいだろうし、仲間がいるのはいいことだ。だから深くは考えない。


 というわけで、今日はたむの愉快な仲間たちを紹介していこうと思う。


 まずは白い猿のちょっちゃん。白い猿がべろーんと寝てる姿で、座らせることもできるけど、だらーんとした感じになる。両手両足が硬くて、怒った時のちょっちゃんパンチはとても痛い……。

 ちなみにちょっちゃんは母親のぬいぐるみなのだが、私と違って四六時中一緒にいたいわけではないようで、たむと一緒に置いてある。ちょっちゃんの名付け親はたむ(に扮した私)である。

 たむのはちゃめちゃ発言に振り回されながら、適当に無視しながら、時にはたむを振り回しながら暮らしているのだ。なんだかんだで、たむはちょっちゃんが一番好きだと思う。


 次は白い犬のフラン。耳がピッと立ってて、しかも本人も立った姿だからあんまり犬っぽくない犬。座れるけど、何かにもたれさせないとゴロンと転がってしまう。

 ぬぼーっとして何を考えてるのかよくわからない感じ。

 たむのことは特段好きでも嫌いでもなくて、次に紹介するヒツジと仲がいいようである。

 口数も多くなく、マンガで表すなら吹き出しではなくセリフがか細い字で顔の周りに直接書いてあるイメージだろうか。

 そう思っていたからか、動き出してからはほんとにそういう感じでセリフが見えるのだ。でも字の読めないたむやちょっちゃんが普通に会話してるから、文字で見えるのは私だけのようだ。

 フランだけ名前が普通なのは、そういう名前のキャラとして売ってあるぬいぐるみだからである。私が名付けていたらもっと間抜けな名前になっていたであろう。


 続いてヒツジ。寝ている羊を模したお昼寝枕で、名前はそのままヒツジである。もちろん枕としては使っていない。

 胴体は羊毛のようなもこもこになっており、とてもかわいい。フランと仲がよく、常に抱っこされて寝ている。色はきなりというのか、ナチュラルな白である。

 このヒツジは本当にいつも寝ているので、もしかしたら動き出してないのではないかという気もするが、他のぬいぐるみたちが構っているのでおそらく同じように動いているのだろう。本人の意志でひたすら寝てるだけで。


 最後はまる犬。さっきまでの4体は大きめのぬいぐるみであるが、まる犬はそれに比べるとかなり小さくて両手の上に乗せるのにジャストサイズである。

 ラグビーボールを両端から押して潰したような形で、目と口と耳だけがついている。耳は垂れ耳である。色は薄めの茶色。

 たむが「まるちゃん、まるちゃん」と構いに行くが、とてもクールなのですごすごと退散する姿をよく見かける。一匹狼という感じであるが、ぬいぐるみよりむしろ人間が好きなようで、私のところにはよく撫でられにやってくる。

 まる犬の名付け親ももちろん私である。


 以上がたむと愉快な仲間たちである。


 これまでは部屋の片隅にひとかたまりになっていて、まとめて膝掛けなどの毛布をかけていたが、動き出してからは部屋の中で思い思いに過ごしている。

 たむだけは飛べるのでふよふよと部屋から出て行くこともあるが、他の子達は基本的に私の部屋にいる。

 季節は肌寒さを感じるようになってきた頃なので、私の部屋にはふかふかのラグが敷いてある。大体みんな昼間はそのラグの上でぐうたらし、夜はもともとの居場所だったあたりで毛布に挟まれて寝ている。そろそろ寝場所のあたりにも小さめのラグを買ってもいいかもしれない。

 ちなみに私の家は2階建ての純和風で、2階にある私の部屋も畳である。私はそこに布団で寝ている。そのような家なのでリビングでなく居間である。畳敷でこたつがあるのだ。

 畳の上にラグというのは合わないと思うかもしれないが、合う合わないなんて寒さともふもふの尊さの前には瑣末なことだ。

 もふもふは正義!もふもふは正義!!


 今日も私は部屋でラグに寝そべって本を読み、たむは毛布を被ったまま私の腰のあたりに乗って寝ている。あったかい。

 ちょっちゃんはラグの端の方でびろーんとしていて、フランとヒツジは寝場所にいる。

 まる犬は……いない?

 いや、畳んで積み重ねた私の布団の間に挟まっている。頭から突っ込んでいるので、お尻しか見えてないけど。

 みんな自由で平和だ。


 ミサキとたむと愉快な仲間たちとの日々は続いていく。

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