16話 とある雪の日
ああ、寒い。
外は雪が降っています。
私が住んでいる地域は、雪国とまではいきませんが、年に数回はそれなりに積もる地域です。
今日はずっと雪が降り続いているので、明日には積もっているでしょう。
明日は休みだからいいのですが、これが仕事のある日だと車を掘り起こさないといけないので大変です。車庫がほしい。
窓ガラスの向こうを大きな雪が舞っているのを、たむもじっと見ています。
そういえばたむは雪を見るのは初めてですものね。珍しいのでしょう。
毛布を被ったままですが、わざわざ窓に近づいてまで外を見ています。
無邪気でかわいい。
「あの人、こんな日にお外を歩いて大変でしゅね〜。たむはぬくぬくしていましゅよ。いいでしょう〜」
ガクッ。
あまり無邪気ではなかったですね。
ニヤニヤ笑いながら外を歩く人を眺めているのは、とてもやなやつ感があります。
「ミサキちゃんは、お外に行かないんでしゅか〜?」
「行かないよ」
「つまんないでしゅ」
どうしてたむがニヤニヤするために、わざわざ雪が降るところに行かないといけないのでしょう。
「たむが行ってこれば。そしたら私が窓から見ててあげる」
「たむはお外には出られましぇんよ」
「………………」
そうでしたね。
たむ神様(仮)のお力は家の中だけなんでした。
でもたむ神様(仮)、庭だけならどうでしょう?
うちの庭は塀で囲まれているので、あまり高く浮かばなければ外からたむは見えません。
喋るとご近所に聞こえてしまいますが、黙って低いところを飛んでるだけならどうでしょう?
まあ、黙って低いところを浮いて、なにするのって感じですが。
「ミサキちゃん、お外に行ってくだしゃいよ」
「行かないよ。しつこいな」
「あ、また歩いている人がいましゅ。たむは毛布にくるまっていましゅよ〜。羨ましいでしょう〜」
またやってます。
とりあえずたむの毛布を剥いでおきましょう。
バサっとな。
どうしてですかって?
なんとなくに決まってるじゃありませんか。
「なにするんでしゅか!? たむ、寒くて死んでしまいましゅ!」
涙目でそう言いながら毛布の山に突っ込んでいくたむ。
暖房の効いた室内でなにを言ってるんだか。
とりあえず、今日のおやつのあんこはよく冷やしておきましょうか。




