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10話 たむのお仕事

 どうしましょう。

 たむがすごく困った顔でこっちを見ていて、料理中なのに写真と動画を撮らなければいけません。かわいい。


 たむには眉毛はないのですが、なぜかハの字眉毛が現れているのです!

 ハの字眉毛! かわいい。


 ポテサラを作るためにマヨネーズを握りしめていたのですが、急いでテーブルに放り出しポケットのスマホを取り出して撮影撮影! かわいい。


 それにしてもハの字眉毛というのはどうしてこんなにもかわいいのでしょう。

 小学生の頃、困るとハの字眉毛になる女の子がいて、よく「困って!」と言って困らせてハの字眉毛になったのを喜んでいました。懐かしいです。


 さて、思う存分動画も写真も撮りましたので、なにに困っているのか聞いてみましょうか。


「たむ、どうしたの?」

「ミサキちゃんはたむに、仕事をしなしゃいって思ってるんでしゅか?」


 どうしましょう、意味がわかりません。


「はぁ?」

「マヨネーズを持ってるのは、たむに仕事をしなしゃいってことでしゅか?」


 重ね重ね、意味がわかりません。


「……なんでマヨネーズが仕事に繋がるの?」

「だって、たむのお仕事はマヨネーズの端っこの固まったところの妖精でしゅよ」


 どうしましょう、全く理解できません……。


「なに言ってるの……?」

「たむのお仕事はマヨネーズの端っこの固まったところの妖精なんでしゅ」


 だからその意味がわからないのですよ!!!!


「たむは妖精じゃないでしょう?」


 自称ネコのひよこクッション。それがたむだよ。


「妖精のお仕事をしていましゅ」

「いやいや、妖精は仕事でやるものじゃなくて種族的なものでしょ?」


 よくファンタジーに出てくるトンボみたいな羽の小さい子。あんな風に生まれながらに妖精なのが妖精でしょう?


「たむは頼まれてお仕事で妖精をしていましゅ」

「……誰に?」

「変な妖精さんでしゅ!」


 狐にでも化かされてるんじゃないのでしょうか……。


「変な妖精さんに頼まれて、たむは仕事としてマヨネーズの妖精をしてるってこと?」

「そうでしゅ! でもマヨネーズの妖精ではなくて、マヨネーズの端っこの固まったところの妖精なんでしゅ!」


 マヨネーズの端っこってどこだよ。


「マヨネーズの蓋を開けてくだしゃい。固まったマヨネーズがありましゅね。それでしゅ」


 うちはみんな雑なので、マヨネーズを使った時に出し口のあたりについていても拭かずに蓋を閉めています。それが固まってしまっているところの妖精なんだそうです。

 確かに黄色がちょっと濃くなって、たむの色に近いですね。

 いえ、そういう問題ではありません。


「その妖精はなにをするの?」

「なんにも」

「なんにも!?」


 ではそんな意味不明な妖精の仕事などする必要ないではないですか!


「なんでやってるの?」

「誰かがやらないといけないそうでしゅ。妖精さんもやる人を見つけるのが大変だって言ってまちた」


 誰もやらなくていいでしょう、そんな無意味な妖精。


「妖精やってたらなんかもらえるの? お給料的な」

「なんにも」


 ボランティア!?


「たむは前はチーズケーキの妖精もやっていまちた」


 それはまだまともな妖精の気がしますね。いえ、私の感覚が変になってきている気もします。


「それもなんにもしないの?」

「チーズケーキの妖精は、チーズケーキを食べようとしている人のところへ行って、おいしそうに見える魔法をかけるんでしゅ」


「まともだ!」

「でもたむは何回も見つかりそうになって、もういいよって言われまちた……」


「クビ!?」

「今はマヨネーズの端っこの固まったところの妖精だけでしゅ」


「……うん、たむは無意味なのが似合うからそれでいいんじゃない。名前だけの妖精」


 名前はたむ。

 自称ネコ。

 職業:マヨネーズの端っこの固まったところの妖精


 かわいい。

 この不定期更新のふざけたお話にお付き合いいただいてありがとうございます。

 来年はもう少し更新頻度を上げられるようにがんばります。

 別作品が隔日の奇数日更新なので、こっちは偶数日更新を目指します!

 来年もよろしくお願いします。よいお年をお迎えください!

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