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1.クラスの選抜選手

本作は短編小説を何回かに分けて連載するかたちで投稿していきます。

 ゴールデンウィークが終わり、制服が長袖から半袖に変わり、最初の定期テストを乗り越えた後、次に待ち構える大きなイベントは体育祭だ。


 体育祭は、学校行事の中でも重要なイベントの一つで、この行事を盛り上げ無事成功させようと、多くの人が関わり協力していくことになる。


 ボクの通う中学では、体育祭は重要な行事として、力を入れて取り組まれている方だと思う。


 競技面以外でも、応援団、クラス旗作成、吹奏楽部の伴奏、委員会の仕事、他にも色々な要素があり、競技面では、百メートル走から始まり、クラス競技や全体競技を合わせて、一人最低でも五つは競技に出場ことになる。


 クラスの数は、一年から三年までそれぞれ二クラスで構成されており、A組が赤組、B組が青組に分かれ、学年優勝と総合優勝、クラス旗のコンテストが行われる。


 学年が二クラスで構成されるということは、勝敗がはっきり決まることを意味する。そうなれば必然的に相手のクラスに対する対抗心が強くなるため、体育祭が白熱した行事になるのも納得だ。


 二年生になり、体育祭の勝手が分かってきたボクたちにとっても、それは例外ではなかった。


「まずはどの競技から優先して選手を決めるか話し合いたいと思います」


 早くも夏を感じさせるような日差しが照り付けるなか行われた、学活の時間、ボクたちのクラスでは、体育祭の役割分担や選抜競技の選手決めが行われた。


「やっぱ全員リレーでしょ」


「長距離先に決めた方がよくない?」


「選抜リレーはどうするの」


「って言うかA組との戦力差ってどんなか感じ?」


「女子はまあまあだけど男子どうなん?」


 生徒が自分たちでメンバーを選抜する競技は三つある。


 長距離走が男女二人ずつ、選抜リレーが四人ずつ、一人半周ずつ走る全員リレーで、一周走る第一走者と最終走者で一人ずつ。男女合計で十四人を選ぶ必要がある。


「得点的に全員リレー優先は確定じゃね」


「次はどうする? 最大得点差なら選抜リレー?」


「いや戦力的に選抜リレーでワンツーはきつくない?」


 三つの競技の得点は、長距離が一着が15点で、以下二着が11点、三着10点と続く。


 選抜リレーは、一着30点、二着20点、三着10点、四着5点。全員リレーは、一着50点、二着20点となる。


 それぞれの競技の特徴として、長距離走は、一年生から三年生まで合わせた十二人で競走すること。


 選抜リレーは、男女混合チームを一クラス二つ作り、四チーム同時に競走すること。


 全員リレーは、着差のタイムが計測され、差をつけるほど加点されていくことが挙げられる。


「全員リレーの二人は決定として、次どうする?」


「五十メートルのタイムと持久走のタイムが速いの被ってるよな」


「これ向こうのメンバー考えたら長距離優先の方がいけそうじゃない?」


 どの種目を優先するか様々な考えがあるが、このクラスでの優先順位は、全員リレー、長距離走、選抜リレーの順になった。


 方針としては、タイム差が得点に影響する全員リレーが捨てられないことを前提に、長距離走の四人でA組と15点以上の差を広げて、選抜リレーの第一チームが二着以上になることで、15点差以内で選抜リレーを乗り切るということだ。


 この作戦、達成するのがかなり難しいことは承知のうえだった。


 クラスの人数が男女半々の三十二人でその内選抜されるのが十四人、クラスの中で五十メートル走が速い人、持久走が得意な人がどれくらいいるかを考えると、選抜メンバーが全員最強という訳にはいかない。


 足が速いと言われるのは男女それぞれ三から五人ほどで、長距離走が得意な人は貴重だ。そうなるとクラスで六、七番手のそこそこ足が速い人間も選ばれることになる。


 上位層だけでなく、中堅上位層の厚さも戦力として重要な要素だ。


「――選抜リレーの第一チームは、この四人になります」


「第二チームは、大森くん、蒲田くん、川崎さん、鶴見さんです」


「全員リレーの順番は、仮だけど決めたのでこれで一回やってみようと思います――」


 と、まあ、そんな感じで、そこそこ足が速い枠のボク、大森優大(おおもりゆうだい)は、選抜リレーの第二チーム、事実上の捨て駒部隊として、体育祭の選抜メンバーに選ばれたのだった。

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