第七話
数分後、絢香は箒を持って戻ってきた。
「おっ、おまたせっ……」
魔法空間に往復しただけでかなり疲れてるみたいだ。
「大丈夫か? 少し休んでからやるか?」
「だ……大丈夫……時間勿体無いから……」
そう言うと絢香は箒に跨って集中し始めた。
……これはちょっとヤバそうだな。少し離れておこう。
次の瞬間、絢香は前方に凄い勢いで飛んでいった
「きゃーーーー」
……やっぱりか。
そして、壁に激突する前に俺がいる中心部に強制転送されて戻ってきた。
「……大丈夫か?」
「こっ、これぐらいどうって事ないわ」
強がってはいるが怖かったのだろう。涙目になっている。
「次いくわよ!」
「ちょっと待て! 少し落ち着け。同じ目にあうぞ?」
「……分かった」
俺の意見を聞いてくれて、絢香はとりあえず深呼吸をした。
「うーん、イメージの仕方が悪かったのかな?」
「集中してる時ってイメージしてるんだ?」
「そうよ。今は箒で飛ぶ魔法だからヒューンって飛んでるイメージかな」
「ヒューン? イメージの仕方おかしくないか?」
「なんでよ? 飛び回るイメージってヒューンじゃない!」
「……そうなのか? まぁ、今までそんなイメージしてたんだったら間違いないか」
イメージの仕方なんて人それぞれなんだろう。
「えっ? 今までは私の部屋の中で少し浮くぐらいしか出来なかったからフワッとしたイメージだったわよ?」
うん、やはり間違ってるんだろう。
「そうか……飛び回るのは初めてって事だな?」
「そうなるわね」
なるほど……絢香は思った以上にポンコツ……いや、考え方が違うのだろう。だから絢香のお母さんは俺に手伝いをしてほしいと頼んできたのだろう。
「俺は魔法の事はよく分からんが、それならまずはいつもより高く浮かぶとか段階があるんじゃないか?」
絢香はそれだ! という顔をしたが
「それは翔吾が手伝い役として役に立つか試してみたのよ。少しは役に立ちそうでよかったわ」
何故そう強がるのだろう? まぁ、いいか……
「それはよかったよ」
「よし、落ち着いたし、ちょっと高く浮かんでみるね」
「あぁ、頑張れ」
そして絢香は箒に跨ってまた集中し始めた。
そして勢いよく真上に浮かぶ……いや、飛んでいった。
何故だ? 何を間違えたんだ?
天井に届く前に強制転送で絢香は俺の前に戻ってきた。
「今度はどんなイメージしたんだ?」
「えっと……ふわっとだったらいつもと同じだからブオォンって感じかな?」
「確かにブオォンって感じで飛んでいったな」
「えー? じゃあどうすればいいのよ?」
それを俺に聞く? まぁいい、俺なら、どうイメージするかだな……
「うーん、フワフワフワって感じか?」
「それよ! よし、やってみる」
うん、ダメならその時考えよう。
絢香はまた箒に跨って集中し始めた。
そして、ゆっくりと浮かんでいった。
やった! ようやく成功だ。
「わーっ、たかーい」
「おい! 集中力切らすなよ?」
「はーい」
本当に分かってるのだろうか? こっちはいつ暴走するか心配だ……
まぁ、今のところゆっくり浮かんでいるのでこのまま集中力を切らさなければ大丈夫だろう。
なんかようやく一歩前進した感じだ。