第四話
「今日は、この辺でやめとくか?」
俺は今にも泣き出しそうな絢香に聞いてみた。
「まだよ、今日は全然成功してないんだしお父さんもまだ帰ってこないと思うから」
「そっ、そうか。じゃあ次はどんな魔法にするんだ?」
「そうね……魔女と言ったらやっぱりコレかな」
そう言うと絢香は箒を取り出した。
「まさか、それで飛ぶのか?」
「当たり前でしょ? 魔女と言ったら箒で飛ぶ以外ないでしょ?」
確かにその通りなのだが部屋の中で大丈夫なのだろうか?
「何を心配してるのよ? 飛ぶって言っても浮かぶぐらいにしとくわよ」
「そうか……分かった。じゃあ見といてやるよ」
「じゃあやるわよ」
絢香は箒に跨って集中し始めた。
今度は失敗しないといいのだか……
暫く集中していると箒に乗った絢香が浮きはじめた。
おぉ、本当に浮いてる。こうしてみると本当に魔女って感じするな。
「どう? 凄いでしょ?」
「あぁ、これは凄いな」
「そうでしょ♪ 私だってちゃんと出来るんだら」
絢香は先程の失敗を気にしていたのだろう。俺にちゃんと出来る所を見せたかったのか。
「よし! こんなものかな? じゃあ降りるね」
ガシャーン
そう言った絢香は天井を突き抜けどこかへ行ってしまった。
「あやかぁぁぁぁぁ」
天井を突き抜けた音と俺の叫び声を聞いてまた絢香のお母さんが来てくれた。
「どうしたの?」
「あっ、絢香が箒に乗ったまま天井を突き抜けて何処かにいってしまいました」
「あらあら、大変。翔吾君は少し待っててね」
少しして絢香はお母さんと一緒に戻ってきた。
「おかぁさーん」
絢香は怖かったのだろう。泣いてしまっている。
「集中力切らしたらダメよ?」
絢香のお母さんはそう言いながら天井などを魔法ですぐさま直した。
「はーい……ごめんなさい」
「翔吾君も呆れずに手伝ってあげてね」
「呆れはしないですよ。俺は魔法使えるわけじゃないし、どれだけ大変なのか見てたら分かりましたから」
「ありがとうね。集中力高めないと今みたいに危険だから集中力高める為にもお願いね。それと絢香、今日はもう危ないから修行はやめて気持ちを落ち着かせなさい」
「……はーい」
「じゃあ今日は俺もこれで帰りますね」
「翔吾……手伝ってくれてありがとう」
「あぁ、また来るから今日は気持ち落ち着かせろよ?」
「……うん」
そうして俺は家に戻った。
部屋に入りベッドに横になって今日の事を考えていた。
「魔法ってただ便利だと思っていたが習得するのも大変なんだな……もっと何か手伝えたらいいのだが……」
そう思ったが俺には魔法の知識等ないし使えるわけでもない。やはり見守るぐらいしかなさそうだ。
見てるだけでもハラハラするんだよな。まぁ今日は初めて誰かに見られての魔法だったから絢香も慣れてきたら大丈夫だろう。……多分
まぁ今まで隣りに住んでいたのに何も気づかないぐらいだ。そんなに失敗等していないだろう。
俺はそう思う事にした。