第4話 平凡高校生、勇者の力を知る
「えーっと、何ですかそのリアクション?」
「……今の魔物、ファイアーボアよね? 戦闘初心者が石の剣でファイアーボアを一撃? どういうこと?」
「セーナさん? どうしたんです?」
「もしかして今の魔物、ファイアーボアじゃない? それとも、渡した剣石の剣じゃなかった? それとも……」
「状況説明求む」
俺としては普通に剣で切っただけのつもりなんだが、なんでセーナはこんなにパニックになってんだ?
そんなに今の魔物強かったのか?
「正直まだ全然理解が追いついてないんだけど……。拓真が今倒したのはファイアーボアっていう魔物よ。この村の周辺で湧く魔物の中では1番強いやつよ。」
「へー、そんなに強い魔物だったのか。村に被害が出なくてなにより……ってそんなわけあるか。俺の攻撃で一撃だぞ。某RPGゲームのスライム相当だろ、今の魔物」
というか、仮にスライム相当だと考えても弱い。
スライムを一撃死させるのはレベル1では無理がある。
「そのRPGっていうのが何なのかはわからないけど……。あなた、とりあえずおかしいわよ。」
「いきなり人をおかしい呼ばわりはひどくねぇ?」
「おかしいものはおかしいの! っとそうだ、拓真、ステータスボード見せてみなさい!」
「ステータスボード? 何それ?」
「自分の職場とか、持ってるスキルとか色々見られるところよ。右手を体の前で左から右に振れば出てくるから!」
おぉ、なんかゲームみたいでカッコいいな、それ。
早速自分のステータスを見てみるとしよう。
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名前 タクマ
レベル 7
職業 勇者
所持スキル一覧 所持スキル無し
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なるほど、これが俺のステータスか。
名前はどうやら並行世界仕様になっているらしい。
それと、勇者は職業ではない気はするが……。
まぁそこも問題では無い。
問題なのはレベルだ。
俺は並行世界に来たばっかりなので、普通ならレベルは1のはず。
なのに今の俺のレベルは7になっている。
おかしい、確かにさっき魔物を倒しはしたが、流石に魔物一匹倒しただけでいきなりレベルが6も上がるのはおかしい。
やっぱりあいつ、セーナの言う通り強い魔物だったのか?
「おかしいところが……無い?」
「いやおかしいだろ!? なんでいきなりレベル7になってんだ?」
「拓真がファイアーボアを1人で倒したからでしょ?」
「ファイアーボアってマジで強かったのか……」
「何度も言ってるでしょ、強いって。けど、これじゃあ一撃で倒せたことの説明がつかないわ。一体何が起こったのよ……」
「……なぁ、もしかして俺が勇者だからか?」
「……それだわ」
散々色々理由考えた結果がこれかよ。
まぁ、今までこの世界には勇者はいなかったわけだから仕方ないのかもしれない。
「勇者ってやっぱり凄いのね。レベル1でファイアーボアを一撃死させられる攻撃力なわけでしょ?」
「俺には全くわからないけど、どうやらそうらしいな」
今の今まで、異世界転生あるあるの伝説級武器とか、チートスキルとかが無いことに不安を覚えていたが、どうやら勇者俺のステータスはだいぶヤバイらしい。
これなら魔王を倒すのも不可能ではないかもしれない。
まだまだ先は長いだろうが、ついに俺の異世界? 冒険ライフが始まるんだ!
……あれ? 何か重要なことを忘れているよな……。
連載開始後初めて評価をいただきました!
ありがとうございます!!
評価がついているのを見た時の感動は忘れられません!
これからもおもしろい作品が書けるよう頑張っていきますので、よろしくお願いいたします!