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平凡高校生(勇者)の並行世界救済劇  作者: 霧城ユウト
第一章 二つの世界
2/8

第1話 平凡高校生、トイレで少女と出会う

 平凡な日常。

 朝起きて、学校に行って、授業を受けて、部活をして、家に帰って。ラノベ&マンガを読み、アニメを見て、ゲームをして、寝る。

 私藍沢拓真(あいざわたくま)が今まで送ってきた生活は、まさに平凡な日常以外の何ものでもなかった。


 しかし、俺はこの日常に文句はいっさいない。クラスメイトや担任の先生に恵まれた俺は平凡な日常に全く不満はない。

 そもそもラノベやマンガ、アニメの主人公のように波乱万丈な生活を送れる人はほとんどいないだろう。


 いつも通りの生活をしていたら、いきなり事故に巻き込まれて死亡。

 自分は死んだんだと思ったら、異世界にチート能力を持って転生。

 気がついたらハーレム状態で異世界を旅している。


 そんな人生を送れたら最高に幸せだろう。

 生きている間に、「マンガやアニメの主人公になりたい!」と考える人はかなりいるのではないだろうか。


 そして、そういう発想はいつになってもやめられない。

 そんなこと起こるわけがないと頭では理解はしているのだが。


 ちなみにラノベやマンガが何よりも好きな俺だが、それに関する話は学校ではしないようにしている。オタクだと思われるのが嫌だからだ。

 

 しかし、俺は今日始めてそのことを学校で考えた。

 一体、何故こんなことを考えているか?

 答えは簡単、今俺の目の前にいる少女は俺が今まで送ってきた平凡な日常の範疇に収まらないからである。


 高校一年の夏休み。

 家から徒歩五分もかからない学校で部活動を終えた俺は、トイレに行きたくなり校舎内のトイレに向かった。

 大の方がしたかった俺は、一階男子トイレの個室の扉を開け、ズボンのベルトを外そうと……。


「いやいや、ちょっと待て」


 何故だろう、男子トイレの個室に女の子が倒れてらっしゃる。

 あまりにも唐突な出来事に、俺はしばしフリーズした。

 男子トイレの個室に女の子が倒れているのを発見して、驚かない男はいないだろう。


 いや、仮に倒れている女子がこの高校の制服を着ていたら、女子トイレが見つからず仕方なく男子トイレに入りそのまま寝落ちした、という可能性を考えられたのだが……。


「うーん」


 ヤバイ、少女が目をお覚しになられた。

 不思議そうな目でこちらをみていらっしゃる。

 いや、この状況俺は悪くないだろう。だって俺何もしてな……。


「見つけた。こんなに早く見つかるなんて……」


「……は?」


「お願い、私たちの世界を助けて!」


「…………はぁぁああ!?」


 この少女は一体何を言っているんだ? 世界を助けてだと?


「おいおい、どういうことだよ? いきなり世界を助けてくれって」


「そのまんまの意味だよ! このままだと、私たちの世界は滅んじゃうんだよ」


 滅ぶも何も世界で戦争が始まりましたー、なんて物騒なニュースはやってなかったぞ。

 しかも仮に万が一、億が一兆が一世界が滅ぶとしてもその次元の話を俺にしたところで、俺には何にもできないだろ。


「えーっと……もしかして君はドッキリをしかけていらっしゃる?」


「ドッキリって何なのよ! それよりも速く来てよ、世界が滅んじゃうわよ!?」


「だから待て待て。世界が滅ぶってどういうこった?」


「だからそのままの意味だって言ってるでしょ!? このままだと私たちの世界が魔王に滅ぼされちゃうんだよ!!」


「魔王が世界を滅ぼすだぁ?」


「そうなのよ! だから早く来てよ!」


 どういうことだ?

 この少女が言ってることは非現実的な話である。

 こういうセリフは、俺が好きなアニメとかゲームとかの得意分野だ。


 けど、この少女が嘘を言ってるとは思えない。この少女は本気で世界が魔王に滅ぼされると思っている。


 ここは一つ会話を続けることにしよう。少なくともここで、はいそうですかー、あ、僕用事があるんで帰りまーす、という選択が間違いであることはわかる。


「まずお前が言う私たちの世界っていうのはこの地球のことか?」


 質問しながらなんでこんなことを聞いたんだろうと思う。ここでこの少女が、私たちの世界は異世界なんだよとかなんとか言い始めるのはアニメやラノベの世界だけ……。


「違うよ。私が言ってる私たちの世界はユーローズのことだよ」


 うん、まさかのガチで異世界もんだった。


「おい、そのユーローズとやらはなんだ」


「ユーローズはユーローズ! 私たちの世界だよ!」


「あーっ、そのユーローズは異世界ですかって聞いてんだよ、このアンポンタン」


「あ、私の悪口言ったね? 悪口言うやつは最低なのよ。それに異世界じゃなくて並行世界だもん。君もしかしておバカさん?」


 何故か得意げのドヤ顔の少女を見ながら、俺は思った。並行世界? 何それ? と。


「おい、並行世界ってなんだ」


「君、まだそんなこと言ってるの? さっき説明したでしょ。並行世界っていうのは……。あ、私まだ何も説明してない」


 オイコラ、おバカさんはどっちだ。

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