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3 森の中

 歳が近かったおかげか会話はよく弾んだ。

 イブはアドラル魔法学院というところで魔法を習っていたこと

 魔法の属性は7種類あるが、先祖から代々引き継がれてきた属性しか使えないこと(違う属性同士が子を産むとどちらか片方の属性が引き継がれるらしい)

 アドラル魔法学院では属性ごとにクラスが分けられていて、イブはそのクラスの中の主席だったみたいだ(自慢か?)


「なるほどなぁ…って信じられるかっ!」


「えっ!?」


 随分と長く話を聞いてしまったせいでノリ突っ込みという形で止めることになってしまったが、「へぇ~そうなんだぁすごいなぁ」で終われるような話ではない。

 まるで当たり前のように相槌を打っていた直後に突っ込みをしてしまったためイブはかなりビックリしてしまったみたいで申し訳ないけど話が飛躍しすぎている。


「まずこの世に魔法なんて無いだろ、確かにマナも魔法と考えることもできるけど属性なんて聞いたことが無いしそれを教授する学院なんてマナを使える人は極わずかなんだから需要が無さすぎる。」


「この世に魔法が無い…?この世界は魔法で成り立っているといっても過言ではありません!()の研究者は言いました。”科学と魔法、今はどちらも進歩し続けているが近い未来に化学は衰退し魔法だけの生活になるであろう”と。それほどまでに魔法はこの世界において重要なもののはずです…!それにマナ…とはなんですか?聞いたことがありませんが…。」


 叱られてしまった。冗談として話を聞いていたがイブの表情を見る限り嘘はついていなさそうだ。

 確かに初めてイブを見た時俺は息をひそめながら近づいたのに簡単にバレてしまったり、武器どころか肌着さえも装備していないイブの周りに魔獣といわれる生き物が転がっていたことを配慮すると彼女は魔法が使えると考えれば辻褄が合う。

 それにしてもマナを知らないとは驚いた。人間誰しもが羨むモノを聞いたことがないとはな、魔法の件といいマナを知らない件といいイブは別の世界から来たとでもいうのか?


「マナっていうのは簡単に言えばその人個人の特殊能力って感じだな。ただ発現する条件が条件なだけにマナを使える人は限られてるんだ。」


「そうなんですか、ルカを魔力感知できなかったのはマナを使えないからってことかもしれないですね。魔力を持たない人間は初めて見たので何故かと思いましたが。」


 そ、そうなのか?”魔力を持たない人間は初めて見た”…俺には魔力があってルカに魔力が無いってことはイブの言っている通りなのかもしれない。だけどこれ以上ルカの前でこの話をするのはちょっとまずい、なんとか話をそらさないと…


「そうなのかもなぁー、ところで一刻くらいか?だいぶ森の中を歩いたけど全然視界が開けないな!」


 いつもは町に通じる一本の道を歩いているから迷うことはあまり無いんだが、今回は急いでいることもあって町の方角(だと思われる)に向かって森の中を突っ切っている。だがそろそろ町についてもいい頃合いなのになんでだろうな?


「兄さん、もしかして適当に歩いてる?」


 ルカが呆れた目でこっちを見ている。そんな目で俺を見るなよ可愛い奴め。ルカの言葉にイブも不安げな表情でこちらを見ている。そんな顔で俺を見るなよ可愛い奴め。

 俺が言い返そうとした瞬間、後ろから悪寒が襲ってきた。なんだ?この誰かに見られてるような感じは…

 イブは表情を険しくし、ルカに手を差し伸べイブの後ろに移動させた。


「お二人とも、お話の最中ですがちょっと笑ってはいられない状況になったかもしれないです…。」


 今の俺たちは剣とか盾は持っていない、あるのは水が入ったバケツとルカが捕まえた飼育していた仔牛だけだ。

 こんな時に凶暴な生き物が来たら逃げるしかない、イブが魔法を使って倒せるのであれば選択肢は増えるんだが。


「これは逃げたほうがいいのか?あいにく俺は体力が無いからイブが戦う手段があるのであれば任せたいんだが。イブ、君と会う前に起きた爆発はイブが使った魔法によって起きた爆発だろう?あれでどうにか出来ないか?」


「あの爆発そんな大きかったんですね…魔法は丈夫な棒状のものが無いと狙いが定まらないんです。あの時は何も持ってない状態で魔法を使ってしまって四方八方に魔力が飛び散り魔力同士がぶつかって起きてしまった爆発なんです。ですのでお二方にも被害が出てしまう恐れがあるので実質今の私は戦闘においてお役に立てないと思ってください。」


 そうだったのか、だとしたら尚更逃げるしか手段なさそうじゃないか


「よし、じゃあ逃げ」


 突然嫌な気配が左右背後にも襲ってきた。まずい、判断が遅かった。イブも魔力を察知したのか周りを見渡している。


「段々と近づいて来て分かってきました、私たちは今6匹の魔獣に囲まれています。そしてこの魔力濃度は6匹とも魔獣の中でも最上級並のA級魔獣です。魔力濃度が濃いところが1匹で4ヶ所あるこの特徴的な魔獣の名は…」


 周りの木々を折り倒しながら姿を見せた生物は全体が黒い毛に覆われ2メートルくらいの大きな体、そして鋭い牙、とがった耳、足が竦みそうなほど俺達を見つめる真赤な目、そんな頭が1つの体に3つついている生き物


「魔獣ケルベロスです…!」





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