18 vs無属性の魔法使い3
マテウスは槍杖ロンゴミニアドを横に凪払った。
凪払われた槍杖はその先にあるアドルフが仕掛けた設置型魔法に反応し、その魔力を全て吸い上げ無力化した。
そして、マテウスは槍杖をアドルフに向けた。
「記憶抽出[255:紅炎]」
槍杖の先から放たれたものは、私がさっき1分も経っていないくらいにアドルフが放った魔法と全く同じ魔法だった。
一瞬の光を見せた紅炎は石の床をも溶かす勢いでアドルフに向かっていく。
この世界に魔法の概念は無いと聞いていたが何故マテウスが魔法を使っているんだ...。
確かに私のいた世界でも体内に魔力が宿っていさえすれば誰でも簡単な魔法くらいは使える。
そしてこの世界に来ても、私やアドルフが魔法を使っている時点でこの世界にも魔力というものは存在するんだろう。
だがいくら魔力があるからと言っても魔力を操る感覚とその魔力を使って魔法を唱えるというプロセスを通さないと魔法は使えないはずだ。
マテウスは紅炎を唱える前に記憶抽出と唱えていた・・・。
もしやマテウスが魔法を使っているのではなくロンゴミニアド本体が魔法を出しているのか?
「ほう、そういうことかぁ、面白いね。瀑布。」
アドルフの目の前に大きな滝が出現した。
瀑布は水属性の上級魔法、さも当たり前かのように使ってくる。
瀑布に当たった紅炎はどちらも全て水蒸気へと変わってしまった。
いくら火力の優れた火属性の魔法でも水属性の上級魔法には勝てないのか。
水蒸気で周りが見えにくくなってしまったが、マテウスがアドルフに向かって一直線に突っ込んでいくのが薄っすらと見える。
水蒸気が一番濃い場所は二つの魔法がぶつかり合った所、つまりアドルフの目の前だ。
この水蒸気を利用して一気に間を詰めるつもりのようだ。
マテウスは槍杖を地面に突いてその反動で高く跳んだ、淡々と状況を言っているがその行動は恐ろしく人間離れしている。
そして浮いているアドルフよりも高く跳ぶとマテウスはその槍杖を思い切り振り下ろした。
「完全静止」
アドルフはまるで上から仕掛けてくると分かっていたかのように魔法を唱えた。
振り下ろされた槍杖はアドルフの魔法でいとも簡単に防がれてしまった。
だが、完全静止で作り上げた虚無空間はマテウスの攻撃自体は防いだが、衝撃までは防げず、アドルフは地面にたたき落とされた。
「人間は人間らしく地面に這いつくばっていろ、記憶摘出[210:光速]」
マテウス、貴方も人間なのだからそんなに高く跳ばないでください。
光属性の魔法、光速。
師匠しか使っている人を見たことがない、まぁ光属性の使い手の母数がかなり少ないというのもあるんですけど。
マテウスは白く光り輝いた槍杖を地面に突き刺すような形で持ち、光の速度でアドルフ目掛けて落下した。
槍杖が地面に突き刺さったと同時に凄まじい砂煙と小石が辺りに舞った。
「アドルフ様!!」
シモンとアリスが同時に叫ぶ、今まではアドルフに対し大したダメージを与えられてこなかったが、今回は致命傷は避けられないはずだ。
だが、槍杖と地面の間にアドルフはいなかった。
「先程の設置型魔法、強制無作為転移、これは人の体にも設置することが出来てねぇ、いくら私といえども不意打ちには対処が難しいから戦闘時には背中に設置しておいているんだねぇ。
誰かが後ろから攻撃を仕掛けた時点で魔法が発動しテレポートするって仕組みさ。
今回は背中から地面に着いたからその衝撃で魔法が発動したってことだねぇ。」
砂煙の奥からアドルフの声が聞こえる。
クッどこまでも用意周到なようだ、魔法は全属性の魔法が使えるから対処されやすい、弓や投擲はアドルフの固有魔法完全静止で止められる、近距離での戦闘は反作用がある。
反作用は即時瞬間発動だから槍杖で魔力を吸収しきるのが先か反作用が発動するのが先か分からないから安易に近寄るのも危うい。
一体どうすればいいんだ・・・。
「確か魔法の属性は火水雷風地光無の7つだったな、なぁアドルフあんた、陰陽って知っているか?
日と月や天と地のように森羅万象、互いに対立しあっている物があるんだ。
そうなると、おかしいよなぁ?属性7つは中途半端じゃないか?」
マテウスは何を言っているんだ、属性の数は7種類だというのは周知の事実。
いくら私が無知だとしても、私はその7種類しか見たことがないし聞いたこともない。
「何が言いたいんだね、マテウス。」
このことについてはアドルフも分からないみたいだ。
マテウスは槍杖を暫く見つめ、そしてアドルフに向けてまた問いただした。
「じゃあこの魔法の属性を教えてくれ、科学者さんよぉ。記憶抽出[3:闇の権化]。」
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