表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/20

16 vs無属性の魔法使い1

 先に仕掛けたのは兄さんだった。

 剣をガリガリと地面に引きずりながらアドルフの方へ歩いていった。

 少しずつ近づく兄さんに対してアドルフは手も足も動かずにずっと仁王立ちしている。


 アドルフにあと数メートルのところで急に地面から魔方陣が浮き出て兄さんはだいぶアドルフと離れた場所、しかも空中に瞬間移動された。

 アドルフは少し口角をあげて笑った。



「どうかな?私の設置型魔法は。魔力を感知できない程に小さく、そして大量に地面に張っておいたんだよねぇ。」



 突然空中に移動させられた兄さんだったけど、なんの反応もせずにスタッと着地した。

 着地をした後、兄さんはボソッと何かを言った。

 すると持っていた剣が消え、代わりに弓が現れた。



「面倒くさ、ただのその場凌ぎにしかなんねぇよこんなの。」



 そしてどこからかまた現れた矢をつがえ、アドルフに目掛け思い切り矢を放った。

 だけど兄さんが弓を放つと同時に、アドルフも杖を持ち上げた。



「"完全静止ストップ"」



 アドルフがそう唱えると眉間まで迫っていた矢は急に空中に留まり、動かなくなった。



「私に射出、投擲物は効かないんだよねえ…っておいおいおい。」



 アドルフが言い終わる前に矢の真後ろから兄さんが弓を再び剣にして斬りかかった。

 アドルフは多少驚いていたけどすぐに持ち直して杖で剣を防いだ。



「驚いたよ、まさかあの距離から地面に一切足を着かずにここまで来たのかねぇ?」



 兄さんが魔法で飛ばされた後、アドルフと兄さんの距離は大体20メートルくらいはあった。

 僕はアドルフの方を注視していたから流し目でしか兄さんを確認していなかったけど、確かによく思い出してみれば兄さんは地面に足を着いていなかった・・・かもしれない。

 地面に足を着いていないというよりかは"何もない空中に足を着いていた"といった方が正しいのかも。

 それにしても今の不意打ちを防いだアドルフの方も普通の人ではないことは確かだ。



「"反作用カウンター"」



 暫く拮抗しているとアドルフが魔法を唱えた。

 唱え終わると、剣と杖が交わっている部分が光りだし、そこから何か衝撃波のようなものが飛び出て、兄さんはよろけなかったけど大きく地面から砂埃を撒き散らせながら後ろに後退させられた。

 そしてまた設置型魔法が発動し、さっきと似たように空中に飛ばされてしまった。

 アドルフは少し悩んだ顔をしながら独り言を言っていた。



「うーむ、普通の人ならばその高さから落ちたら致命傷になるはずなんだけどねぇ、マテウス、君はどんだけ頑丈なんだ。」



 兄さんはまた先程と同じように着地した。だけど"反作用カウンター"の魔法が余程強かったのか剣を持っていた右手が真っ赤に腫れていた。

 それを見たアドルフは悩み顔からにやけ顔に表情が変わった。



「"反作用カウンター"、この杖に受けた攻撃をそのまま相手に跳ね返す無属性魔法だねぇ、そしてさっきの矢を止めた魔法は"完全静止ストップ"、これは私のユニーク魔法でね、発動可能範囲は狭いけれどその範囲内の空間は空気であろうと完全に動きを止める魔法さぁ。まぁ他にも色々細工はしてあるんだけどこの2つの魔法があるから私を倒すことは出来ない、諦めて話を聞いてくれないかなぁ?」



 すると兄さんはまた何かボソボソと独り言を言うと、持っていた剣をゴミのように捨てた。そして腫れていた右腕はいつの間にか治っていた。

 兄さんはずっと小さな声で独り言を言っていたが、少し聴こえた限りだと誰かと会話をしているような事を言っている気がする。


 僕は足がすくんで思うように動けない、イブはもう一人の魔法少女との戦闘で疲れきっている。シモンはアドルフに魔法をかけてもらった際に何か言われたのか、アドルフの後ろに下がって何かしてくる雰囲気ではない。

 完全に兄さんとアドルフとの一騎討ちだけど、いくら兄さんが強かったとは言えさっきの魔法を見る限り勝機はアドルフにあるかもしれない。

 正直な話、兄さんと僕が無事ならばアドルフの下に就くことも別に良いような気がしてきてしまう。

 何故そこまでイブや兄さんが抵抗するのか僕にはよく分からない、こんなにも傷ついてまで…。



「10年でいい!さっさとよこせ!」



 突然独り言を言っていた兄さんが大声を上げた。

 兄さんが叫んだ後、沈黙が流れたがしばらくすると兄さんの右腕から何やら深く青い物が現れた。

 その青いものはまだ掴む部分っぽいところしか出てきていないが、その時点で周りの空気がズシンと重くなるのを感じた。

 それのみならず、体の中から感じたことのない何かが少しずつ吸い取られていくのを実感した。

 そして、その物体が全貌を露わにした時、アドルフの顔から笑みが消えた。



「その杖は・・・何故マテウス、君が・・・いや何故この世界に・・・!?」



 その物体は、持ち手は細く、深い青色をしていて、とても綺麗に透き通った空色をした鋭い石が付いた、剣のような、槍のような、杖だった。












ご覧いただきありがとうございます。

気に入っていただければ「いいね」を是非お願いします!

励みになります。


アドルフはMCUのドクターストレンジ、ロイはFE風花雪月のラファエルをイメージしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ