第2話
それから、ニアスは泉から動けない私の元へ毎日遊びに来てくれた。
気が遠くなるような年月が流れる中で、沢山のことを知った。
1つ:天使や女神、神は死なない。
正確には不老不死だ。
だから、私は永遠にここから動けないことになる。
2つ:近くの教会には特定の神父がいない。
ボランティアのような感じでコロコロ変わる。
だから私は誰にも姿を見せていなかった。
3つ:ニアスは人々の願いが書かれた手紙を運んできて、私がそれを読むことで人々の願いが叶うきっかけをもたらしている…らしい。
ニアスはそれが女神の仕事だと言った。
正直言って、毎日来る手紙を読むのは大変だ。
ただ、ニアスに会えるのは嬉しかった。
4つ:この世界にはテレビやスマホ、インターネットが一切ない。
これが1番の問題だった。
何せ、暇を潰せるものがないのだ。
近くに本屋があるそうなので、ニアスには適当に本を買ってきてもらったが、どれも小難しい小説だった。
一応、泉の中にある本棚にしまってある。本を入れても濡れないのだから本当に不思議だ。
5つ:他の女神には他の力があるらしい。
私は全知の女神だ。
どの世界のことも、どの時代のことも全てを頭に入っている。
ただ、隼人のことを知ろうとすると頭が割れそうなほど痛むため、知ることが出来なかった。
他の女神には炎の女神、天気の女神、文学の女神など、形があるものからないものまで幅広かった。
ニアス曰く、神様が制御しきれなくなる部分を補うのが女神の役目だそうだ。
6つ:私の力は自分以外の全てのものに触れると発動され、一度触れれば相手がいなくてもその後は相手の記録を古いものから新しいものまで全ていつでも見れるようになる。
この世界には天使や悪魔、死神や亡霊と私が元いた世界では神秘的な存在だったものが平気で存在する。
まぁ、この世界の人間はそれらを神秘的な存在だと思っているようだけれど、私は神側の存在だから見えるらしい。
ちなみに、私の力は植物から物、亡霊などでも発動される。つまり例外はない。これで頭がパンクしないからまたまた不思議だ。
そんなこんなで私は日々、人々の願いを叶えながら生活している。
こんな生活にも慣れだしたある日、1つの噂を耳にした。