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第6話  爽やかなる朝

はい、気付いたら更新するのめっちゃ久々なんだぜ!!

すみません・・・・長らく更新せずに・・・(泣

君は月に何を願う


夢?希望?それとも野望?


僕は何も願わない


何も思わない


ただ一つだけ願うのは


愛しい君に出会うこと―――――



   *+*+*+*+*+*



「んーん」


目覚めは今日もいい。

枕元には毎朝置かれている綺麗でおいしい水があった。

あたしはそれをそっと持って、カッと天を仰ぐ。


「おいしぃ――!!」


・・・はい、すみませんね朝っぱらからあられもない声出して。

とにかく、今日はすっきりと目が覚めた。

それはこの甘くておいしい水を一気飲みしたからか、眩しい陽光がレースのカーテンから差し込んでくるからなのか。


「あ、そういや昨日窓閉めんの忘れたわ」

瞬時に思い出した。


昨日は、月がものすごくまん丸で、窓を開けて月を眺めていたのだ。

「・・・・・ああいうのを望月っていうのかな」

昨日の月はとても明るく白い光を発していた。

「・・・・・・うーん?」

でも変だ。なんで月があるんだろう。地球にいないと月は見えない、はず。だけどここは、地球上じゃない・・・よね?

考えてみれば、あたしってこの国のこと何にも知らないんだ。何処にあるのか?何がはやっているのか?誰が住んでいるのか?面積は?人口は?首都は?交易は?全然、何にも知らなかった。


・・・・そんな思いにふけっていると、突然あたしのそばで白兎君の声がした。

「お姉さん、何か考えているんですか?」

「わわ、白兎君!」

気付けば、枕元には白兎君が優しい微笑みを浮かべて佇んでた。

「朝ごはんが仕上がっていますよ」

「ん。ごめんね」

急いで白兎君が差し出してくれた手につかまって、ベッドから立ち上がる。

あたしよりも小さい白兎君から、甘い花のような芳香が香る。たまらず白兎君の柔らかな身体を抱き締めたあたしの背中に白兎君の腕が回された。そしてちゅっと小さく頬にキスをする。うん、さすが欧米っ子。ビューティフォーヨーロピアン&アメリカン。


またしても遠い食堂に着くと、今度は懐かしい鯖の味噌煮の香りが漂ってきた。

「今日のメインディッシュは鯖の味噌煮です」

「めっちゃ庶民!!!」

「鯖には最高級城内養殖のトランプマクレル使用」

「と思いきや実は豪華!!!???」

あたしは、いろいろ叫びつつも席に着く。


・・・・って言うか、お食事の時間って決まってないのかな。昨日の夜食は全部席が埋まってたけど、今日はぽつぽついないところがある。その辺はルーズだよね〜。




ご飯を食べ終わったあと、部屋に戻ると、いつの間にかベッドの上に黒・白・ピンクで色づけされた洋服がおいてあった。


「こッ、これは・・・・・・ッ!!」

まさか、

ゴ ス ロ リ というやつなのでは――――?!


「ヤバイ、ヤバイよこれは。ちょ、ヘルプ――――!ヘルプミ――――!」

叫んでみたら、途端にバン!!とすごい音を立ててドアが開き、頭にフリルをつけたキュートなメイドさんが入ってきた。


「・・・・・・・・誰?」

いや、自分から呼んどいてそれは無かろうと思われるかもしれない。でもね、多分こーんなスーパーキュートなメイドさんなんてあたし見たことないししかもバン!って音するとかもうどんな力だよってカオスなんですけど。

「まあ、アリス様!申し訳ありません!わたし、お城のメイドのメアリ・アンです」

「あ、そー・・・・あたしは光珠・・・ってそんなことはどーでもよくって!なんなのこの服!」

「え?とってもかわいらしいですわ?」

いやそーゆーこと言ってるんじゃなくてさ。おかしいよねみんな。つーかなんでこんなものが簡単に用意されちゃうの。

「これ、あたし着なくちゃダメ?」

「あら!嫌なのですか?甘ロリの服は着てらっしゃったのに」

「好みの問題で・・・いやいや、そうではなく(焦)」

「いいじゃないですか!」


にっこりと満面の笑顔を浮かべるメアリ。ああ、その笑顔が憎いですわ、メイド様。

「・・・・・・・・・・・・いいよ、わかったよ」





というわけで、強制的に圧力をかけられてゴスを着用しているあたし。

「うわぁあ・・・・・・」

やばいよ、やばいよこれは。こんなん誰が作ったんだろう。ってかこんなの用意すんな!!


「ほら!お似合いですわアリス様!」

「そ、そう・・・・?」

鏡の前でちょっとポーズを取ってみる。色的には合うんだよね。好みなら甘ロリの方がいいんだけどね。

「うーん・・・・・?」

「あら?お気に召さないので?」

「ううん、かわいいよ」



そのまましばらく鏡と問答していたらメアリの強烈なお勧めが入ったので今日はこれで過ごすことにした。




「暇だ・・・・・・・」

ぼんやりと天井を見上げてみる。いつもと変わらない。当然か。


つまんないから散歩することにしてみた。

庭には珍しく誰もいなくて話し相手も見つからない。しかたないから近道は使わずにお茶会に行くことにした。



・・・・20分後。


「・・・・・・・・ここどこだ」

完璧に迷った!!見たことのない川沿いにいるのです!!たぶん目印の川が途中で二又になってるのを忘れてぼんやり歩いてきてしまったからに間違い無く。



泣きたくなってきた。

と、目がぼんやりと滲んできた頃耳に低くて透き通るような青年の声が入る。


「お困りだね、アリス」

「え」

ガッと振りむいた瞬間首がグキってなる。

「いったぁぁあ!!!」

いいようのない痛みが走って本気で涙が出てきた。ってか、寂しさの涙に便乗して出てきただろこの涙ぁ!!!


ってか、今一瞬忘れてたけど声の主は誰なんだ?

痛みをこらえて袖で涙をぬぐいつつ声の方向を見る。と、そこには。



「ねこ・・・・・・?」


猫耳を生やした少年がでかいリングノートを抱えてたっている。でも、その格好が尋常じゃない!

猫耳の色はピンクと紫のボーダーで、同じ模様の尻尾がゆらゆらしている。髪の色はチェリーピンクでめちゃくちゃ目に痛い。長い前髪の奥ではガラス玉のような菫色の瞳がキラリと光る。

黒いロングコートを羽織ったその青年は絵のように整った顔立ちをしていた。・・・って言うか、まず猫耳を生やしていることに疑問を持とう私よ。



「誰っスか・・・?!」

いや、この世界で紫とピンクの耳や尻尾を持つ生き物ったらまぁ・・・・

アレしかいないんでしょうけどね。



「決まってるじゃん。チェシャ猫だよ」

「ギャアァァァァァ!!!!!本気で本物だったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

強烈に叫び声をあげるとあたしは全力で走り出した。しかし、現実はそう甘くない。

ふと後ろを見たらチェシャ猫と名乗る青年はいなくなっていた。

「はぁーふりきっ・・・・」


前を向いた瞬間、何かにばふんとぶつかった。何か甘い香がふわっと漂うあったかくて柔らかいもので・・・・・ん?

「っきゃ―――!!」

もちろんチェシャ猫ですとも。目の前には、いつ来たかわからないけどチェシャ猫さんがいた。

また叫ぼうとすると、手で口をぐっとふさがれてしまった。



「ねえちょっと黙って、話を聞いてよ。あのさ、僕貴女にひとつも被害及ぼしてないよね。どうして逃げようとするの?」


その瞬間手が緩んだからあたしは頑張って手をどけた。

「―――ッぷはっ・・・だってこの世界で会う人会う人みんな意味わかんないもん―――きっとあんたもそうなんでしょッ!?」

「残念。僕は皆の中でも多分常識あるほうだよ」

「うそっ・・・無理無理無理無理無い無い無い無いチェリーピンクの髪してる人常識人って!!!」

「え?ああこれ地毛。それよりありす、貴女今からお茶会行こうとしてるよね?」


やばい。思考を読まれている。



「今日はお茶会やめにして僕とちょっと遊んでくれない?」



・・・このときすでにあたしは手足を解放されていた。それでも動けなかったのは、目の前三センチくらいにチェシャ猫の顔があったからだろう。

不純だとは言わないでほしい。いくらあたしのやばいメーターがぎゅんぎゅん上がっているとしても、相手は普段滅多にお目にかかれないような超美形だったのだ。あたしは年下超好きといったけど、それはあくまで可愛いから。恋愛対象としてじゃないんだ。


というわけで。



「う・・・・・ん」

嫌だなんていえなかった。「うん」の一言しかいえないくらい、そのときあたしはダメになってたのだから。

あたしが小さくうなずくとチェシャ猫はにこりと笑った。


「じゃあ、いっくよ―――」

チェシャ猫はそういったかと思うと、突然あたしを姫抱きして、大空に跳んだ。



「ッきゃぇぇぁぁぁああああ!!!!!!???いやだぁぁあああなんで皆して空跳ぶんだぁぁあ!!!!」

「んー?猫の跳躍力、気に入ったぁ?」

「言ってない!言ってない!」


初めてこの国来たときも、確か白兎君に姫抱きされて、空を跳んだ。




・・・・・・・・どこが「皆より常識ある」んだよぉぉぉお!!!





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