第3話 アリスの部屋
「・・・・わぁ・・・・・!!」
ため息が零れた。
今あたしは、白兎君に、あたしの部屋を紹介していただいたところ。
またこれが、ガーリーな部屋なんだわ。ものっそい。
しかも、あたしが大好きな甘ロリだ―――!!甘ロリは神なんだ!ゴスロリもいいけど甘甘が大好きなんだあたしは!
部屋の真ん中には、大きな天蓋ベッドが。フリルがふんだんにあしらわれてシェルピンクで流れるシルクで枕とかにはでかい白リボンがキャー!!もうこの部屋の説明萌えすぎ!
・・・と、で、壁紙なんか、布だよ?布がかかってて、薄くてピンク色のキラキラ光るフリルがダーッてついてんの。可愛い・・!
シャンデリアはブリリアントピンクのガラスと透き通った白いガラスがグラデーションでめっさ可愛いんだよ・・・・?!(落ち着こうね光珠)
ともかく、絶句するほど可愛いのです。そして部屋がでかすぎるのです。
「・・・・・・・・・・・・」
っていうかさ?洋服箪笥をあそこまでガーリーかつピンクで飾りまくる必要はないと思うんだあたし。フリルとかレースとかレースとかレースで飾りすぎだから。
あと、部屋の隅にある扉。
見に行ってみると、
「・・・・・マーライオン様!!!」
第一声がおかしいのは見た瞬間に思ったことを言ったからだよ。いや、むやみにでかくて丸くて、一人ではいれば優に泳げそうな。泳がないけど。そんで丸い風呂の真ん中にざーってシャワーっていうか噴水っぽいのが出るやつがあって、そのてっぺんにロードクロサイトで作られたマーライオン様が居座っているんです。はじめて見たな、マーライオン。っていうか、なんでパワーストーンで作るんだよ?
「・・・っていうかさ、なんでみんな甘ロリで飾られてんの?」
そう、そこが一番気になるところ。まさかあたしの趣味リサーチしたわけじゃないだろうし・・・。白兎君のほうを見て聞いてみる。
「リサーチしましたら今度のアリスは甘ロリ好きだと聞いたので」
「リサーチされてたァァァァァァァ!!」
「うわ、お姉さんどうしたんですか?」
ううん、なんでもない。なんでもないよ、白兎君。今のは過剰に反応したあたしがおかしいんだよ。
「お姉さん。僕らがリサーチしたのはたぶんお兄様の情報。お姉さんはこの部屋に不快感を覚えますか・・・?」
ちょっと上目遣いであたしを見つめる。うう、可愛いぞチクショー・・・・そしてなんで君はあたしの同級生よりも精神年齢が高いの?可愛すぎて大人すぎるんだよ。あたしの趣味ばっちり押さえすぎなんだよ。
「まさか!お兄ちゃんが好きなのはゴスr・・・・って、そうじゃない!ううん、あたし甘ロリ大好きだし!全然イケイケ!大丈夫だよ!」
「それは良かったです。あ、ちなみにこのあと何時間かしたら夕食ですので、呼びに来ますね。それまでにお風呂とかにも入っておいてください。たぶん食事が終わるのは9時過ぎになってしまいますから、そのあとは遅くて入れないんです。詳しいことはほら、この部屋のマニュアルを僕が作っておいたので使ってください。では、お休みください」
「あ、ありがと」
白兎君はあたしに薄い冊子をわたして軽くチュっと頬にキスをして―――――
・・・はぁ?
「っキャ――――!!欧米か―――ッ」
悲鳴をあげて、そのあとツッコミ。あたしの祖国はニッポンなんだ!アイムフロムジャパン!!タカアン●トシをお笑い芸人として世に送り、頬にキスしたりする習慣のないビューティホージャパァァァン!
「わ!ど、どうしたんですか!?」
この調子じゃ、きっとこの国じゃ普通のことなんだろうな。だから欧米かって言ったんだよ。
「なななななななんでもないよななななれてなかかかっただだだけだし!!!?」
うわ読みにく!でも、それだけあたしは動揺していたんだ!きっと今、あたしの頬はくれないに染まっていることだろう・・・。
「ご、ごめんなさい!僕お姉さんがこんなに驚くなんて思ってなかったんです!ごめんなさい!」
「ううううん。だだ大丈夫だよ?白兎君のせいじゃないし」
うん平気。どもりも直ってきた。平気だよ、白兎君。
「・・・そうですか・・?それならいいんです、ごめんなさい・・・では、僕は執務の仕事がありますから。行きますけど、大丈夫ですよね?何かわからないこととかあったらマニュアルを使用してください。では」
彼は今度こそ手を振って、行ってしまった。
「・・・ふう〜・・・まさか白兎君が欧米っ子だったとは・・・」
呟きながらあたしは一応、マニュアルをさらっと読んでみることにした。
『1、困ったときの対処法
何か困ったら、ドレッサーの上にあるベルを鳴らしてください。すぐに誰かが駆けつけます』
「誰かって・・・超ほったらかしじゃん」
『2、お風呂
ネグリジェは洋服箪笥の中に入っています。タオルは更衣室にあるので使ってください。髭剃りはお風呂の中の壁に3つ付いているのでお好きにどうぞ』
「ご丁寧に・・・・。今まで毛とか剃ったことないけど、今夜はちょっとやってみようかな・・・」
そんな気になってしまった。
そのほかにも、鍵の在り処、窓の開け方、その他諸々についても簡潔に説明書きがあったけど、とにかくあたしはお風呂にはいることにした。
ちゃぽ・・・・・・
「ふぅー・・・・・・」
和む、癒される。このお風呂、最高。マニュアルの最後のほうに付け足しとして豆知識があったんだけど、そのトリビアによるとこのお風呂のお湯は天然の山から流れ出す湧き水を沸かして流してあるんだって。そのせいなのかはわかんないけど、すごく気持ちいい。
「身体でもあらおっかな・・・」
あたしは、長く湯船につかるのが嫌いな方。すぐ出てシャワーの蛇口をひねる。
サァァァァ―――――――・・・
透き通ったお湯が流れ出す。驚いたことに、初めからお湯で出てくる。ほら、よく初めは冷水で徐々にあったかくなるとかさ、あるじゃん。でもやっぱり貴族だし。そういうところは違うのかな。
その後あたしは、いろんな整った設備に感動しながらお風呂を出たのだった。
あたしは、クローゼットを探っている。狙うはネグリジェ!
っていうか、さっきから見ているのをまとめるとぜーんぶすっごい甘ロリ、ゴスロリ、ロリータファッションばっかりなんだけどこれは何?そしてさっき一着だけパンクロリータがあったけど、そこはあえてスルーしましたとさ。
「あ、これ、ネグリジェかな・・・?」
ベビーピンクとふんわりしたホワイトの、絹生地のネグリジェっぽいものを引っ張り出す。嬉しいことにどうやらネグリジェだったようなので、一応着てみることにした。
「うわちっちゃ」
・・・なんだよこれ!!!(鏡の前に立ったときのあたしの感想)甘ロリなのはいいけど何このめっさミニスカ!おかしくね!?だって、ネグリジェのくせにあろうことかひざまで長さがないというショック!太ももの中盤くらいでふわふわのフリルが終わってるって言う始末。つまりはこのフリルとか取ったら実質、下を着ないとヤバイぜ★状態って言うわけだよね。
「なんつー・・・・・」
ネグリジェだから下がないのは悲しい。でも少食派でよかった。あんまりデブってはいないからあんまり恥ずかしくもない。いや、恥ずかしいんだけどね?
「むう」
断然インドア派だったあたしは肌も白い。これって最早甘ロリっていうところがセクシーな感じに様変わりしてるよね?甘ロリって一応ロリータだから女の子っぽく可愛くするはずなんだけど・・・なんかキュートっていうよりセクスィみたいな?それって困るんだけど。めっさ困るんだけど。
「お姉さーん。夕食の用意が整いましたよー」
「おっと」
部屋の外から白兎君の声がした。
なのでまだまだ納得はしてないものの、ドアを開けたあたしでした。
―――――――刹那
「わー・・・・可愛い・・・・ッッッッ!!!」
叫んだ。
光珠は死ぬほどあたしの趣味を詰め込みまくっております。甘ロリが好きなところとか年下好きなところとか。もう分身に近いくらい性格は似てますよー。