第2話 ハートの女王様
ちょっとごちゃごちゃした2話ですがよろしくお願いします・・・ッ
「・・・ここが・・・お城?」
あたしは、目の前に広がった大きな建物を見て呟く。
あたしはあのあと、暫く白兎君に姫抱きのまま連れ去られて、ちょっとヤバイくらいでかい建造物の真ん前に来たところなのです。
しかしその巨大(と言っていいのか?)建造物は、中世のヨーロッパとかにありそうな、シンデレラ城みたいな立派で豪華絢爛でちょっとマジで「え?!」みたいな感じの城だったのですよ。
白塗りの城壁とか金や銀の装飾とか、いやもう書き表せられないほど凄い。
「はい、そうですよ♪」
にこりと笑って白兎君は言う。
「仕方ないので、多分お姉さんにはこのお城に暮らしていただくこととなります」
「セレブ?!」
「生活費は払っていただきます」
「無理だァァァァァ!!」
「では行きましょう」
「スルー?!」
うん、マジでやばい状況になってきたぞ。あたしまだ働けないから。っていうかそれよりむしろ帰らせてくださいよ。帰れないっぽいけど。
☆★☆
はーい、ただいま城の中にいまぁす〜♪
ってなんか、すごい楽しげなキャラの違うテンションで行きましたが、今はそんなに余裕のあるときではありませんので、本能を押さえるのはやめます。
まあとりあえず、お城の中にいるわけですけれども、初めに言いましたようにここはおかしいです。
広すぎるんです!玄関ホールが!!!なんか、うちは3階建てなのですけれどもそのうちがもう7〜9軒ほど入りそうなほど広いのです。この驚き理解していただけます?!「タ●ホーム」のCMがありますでしょう?あのCMのお見本の家くらいのでかさなのですがね、それが7〜9軒ですよ!!!おかしい状況ですよね?
でも白兎君は平然とその玄関ホールを通り過ぎていく。いやいや、おかしいって。感覚がどうにかしてるから。助けてください。すでにあたしの心は入ることを拒否ってるから。
「どうしたんです?女王様に謁見に行くのですよ?」
ぼーっと3分ほど家7〜9軒くらいあるそれを見つめて放心状態に陥っていると白兎君に声をかけられてわれに戻る。
「う、うん」
たったった。
これまたバカ広い廊下を走って、白兎君に追いついた。
いやでも、廊下の広さも尋常じゃなく、うん、まあ普通に幅としては10メートルほどあるのでは?まあオリンピックの入場のときに隊が通る道くらいはありそう。それ以上はある。
壁は、紅いハートの柄が白い地に水玉模様のように並べられていて一言で言うとしたらまあ、「目に悪い」だね。青とか緑なら目によかったのに。
しばらくそのバカっぴろくてめちゃくちゃ長い廊下を歩くと、突きあたりが見えた。そこにはちょっと気付かないほど広い、そしてでかい、まあ―――――扉があった。扉って呼んでいいのかどうかもよくわからないけどね。なにしろでかすぎて・・・。
ノックをしようとする白兎君。ちょっとあの余裕な表情がこわばっていて、女王様の前だとやっぱり緊張ってするんだーと思った。
――――コン、コン。
「白兎―――?」
「白兎です、女王様。アリスを連れてきたのですが、何か問題が生じていたようで―――」
「やっとー?遅かったなー。あと5分遅かったら危うく首刈りだったよー♪」
・・・・・よし、幻聴決定。首刈りではなく、首鞠と言ったんだ。でも危うく首鞠ってなんだろうね?生首で鞠つきすんのかな?ギャー、それって首刈りよりも恐怖いじゃん!!!!
「・・・すみません。少々てこずったのです」
「まーいいよ。入ってー」
「失礼いたします」
会話を終えた白兎君は、あたしに囁く。
「ここから先は女王様の部屋です。くれぐれも態度を謹んで、ご無礼のないようにしてください」
「は・・・・・・い」
うわー、ちょっと緊張してきたぞ。ううん、でも学祭で劇やった時よりは緊張してない。うっし、いけんぞ。
ギギギ、ギギィ―――イ・・・
大きな扉が軋みながら開く。
ドクン、ドクン、ちょっとヤバイかも。
ドアを開いた先にいたのは―――――?
「うわ」
和服を着た、10歳くらいの女の子だった。しかも超可愛い。
「可愛すぎ!!!!!!!」
いや、あたしは心の中で言ったのだよ?叫んでなんかいない・・・はずなんですがどうなのでしょう?
「・・・白兎。これは、アリスの妹のアキトじゃないの?」
いやいやまてまて。初めからあたしは物扱いなのかよ。これとか言われたよ。
「いえ・・・どうやら、書類が間違っていたようですよ。この子は、間違いなくアリスです。この子の兄がアキトと言う人だったみたいですね」
・・・っていうか、誰もその事についてはツッコまないのね。そしてなんであたしはさっきから存在が空気なんだ?
「まって。とにかく、座って。白兎とアリスが来たときのためにもう1日前からテーブルセット出しといたんだから」
「恐れ入ります、女王様」
「・・・すみません」
あたしも一応挨拶して、目の前にあった椅子に腰掛けた。クッションがふわふわですごく気持ちいい。
「アリス。お菓子も食べてね。白兎は状況報告を」
「あ、はい。いただきます」
うん、フレンドリーで可愛い。あたしは女王様を見つめながらもお菓子を手にとって食べる。
――――おいしい!このクッキー、アーモンドが入っていてココアの味がして繊細・・・あたしが作ったときよりずっとおいしい。
「それ、わたしが作ったの。どう?」
首を傾けて聞いてくる。っていうか、女王様、お菓子作りできるんだ。意外・・・
「あ、はい、おいしいですよ!なんていうか、口の中でチョコチップがとろけます」
「ありがとう。それ生チョコだけど、生チョコも自分で作ったの。喜んでもらえてとっても嬉しいよ」
「・・・それで、状況の方ですが」
「ああ、白兎。忘れてた、で?どうなったの?」
「はい、アキトだと思っていたアリスが、僕を追いかけて穴に落ちて、仕方がないのでつれてきました」
「そう・・・でも、どうしようって言ってももう兎穴は閉じちゃってるし、仕方ないんじゃない?今回は女のアリスで」
「それでいいですか」
「いい。アリス可愛いし♪」
え?!何?!ちょっと、あなたのほうがあたしなんかよりずっと可愛いよ!?何言ってんの!
「・・・・・そうですか。では、家賃の方は」
「は?そんなもの居候からも取ってないのにアリスから取ったりしないでしょ。第一資料間違いはこっちの責任だし・・・まあでも、働いてもいいんじゃない?どうせもう帰れないから、この国で暮らしていくんでしょ。女の子だし自分のもの調達したくなるかもしれない。まあ、バイト料たまるまではこっちでお金は出してあげるから安心してね」
お、おいおい、なんかちょっと経済的な方向に話が飛んでるからね?気付いてね?
って言うか、女王様居候からも取ってないって言ってるじゃん。それなのに取ろうとしたなこの兎め。まあでも、可愛いから許す。
って言うか、城なのに居候がいるのか。誰だろう?
「じゃあ白兎、アリスに部屋を教えて?アリス、これから貴女は城の人間だから。悠々と暮らしてちょうだいね〜」
「了解いたしました、女王様」
こうして、あたしの突然のセレブデビュー(?!)は始まったのでしたとさ・・・★
えーと、せっかくですので2人とも紹介してしまいましょう。
白兎
10歳
明るいローズマダーの瞳に透き通った白に近い銀髪の少年。兎耳で光珠はコスプレだと思っている。大きな懐中時計を首からさげている。かわいい。
女王様(ローズ=スカーレット)
10歳
女王様というか容姿は姫に近いけど国の最高権力者。
濃いライトレッドのウェーブがかった長い髪にバイオレットカラーの輝く瞳。紅が好きで城のデザインを女王になった時点で全部変えたという伝説の持ち主。
ふうー。いかがでしたでしょうか?
ちなみに色は、シーケンですべて調べておりますので気になりましたらweb(←かっこつけたつもり)で「色辞典」を検索してください。シーケンとか出ると思うので、色のサンプルをご覧くださいませ。
ではでは〜〜!たぶん今週中に2話ほど更新すると思います。次回は説明バンバンでアリスの部屋を登場させる気でいます。そして多分超サブなキャラのあの方が・・・。(あたしの友達の依頼でございます)
ありがとうございましたー