表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/18

魔力

白狼も無事ドロップしていた。こっちは、白くて丸い盾だ。腕に着けられるようになっている。


<上級>

耐久 +38

魔力 +24


スキル

<回復魔法>


<回復魔法>が付いているのはいいが、盾かあー。あまり盾って好きじゃないんだよなあ。守るよりガンガン攻めて敵を倒す方がいい。スキルだけ取れないものかねぇ? そう思っていると、盾の上に画面が出てきた。


この装備を強化玉とスキル玉に分解しますか?


マジで? 分解とかできるの? でも狼倒す時、剣がいっぱいドロップしても困ると思っていたら強化玉がドロップした。大狼と白狼の時は装備が欲しいと思っていた。もしかして、意思を反映して装備か強化玉をドロップするようになっているのか。


それなら、分解しようかな――いや、待て。強化玉にすると、強化値が減るんじゃないか。狼の強化値は+2か+3と低かった。それなら、強力な武具はそのまま装備しておいた方がいいだろう。だからといって、盾を装備するかと言われれば、NOだ。


どうしようかと悩んでいたが、良い考えが浮かぶ。そうだ、別に自分が装備しなくてもいいじゃん。この盾は東郷にやろう、となると武器も揃えないとな。予備武器も合わせて剣は二本欲しいから、俺の武器をやるわけにもいかない。だからといって、短剣で戦えなんて酷な事はさすがに言わない。武器は帰りに魔物を狩って手に入れればいいか。


狼たちの強化玉を十四個回収する。今回のドロップ率は良いなあ。強化玉は使わないでとっておく。東郷と行動を共にする上でステータスの差が開きすぎたら、今回みたいに一緒に戦えないからだ。これじゃあ仲間の意味がない。


こういう時は、レベル制じゃなくて良かったと思う。面倒くさいレベリングをやる必要もなく、武器を装備するだけで強くなることができる。欠点としてはステータスが上がれば強くなると思い、ステータスを上げることだけに夢中になる事だ。どんなに身体能力に優れようが、その力を使いこなせないと意味がない。ステータスを上げつつ、戦闘技術も磨かないといけない。


魔物を探しに行く前に、魔法を使えるようにしたい。これから戦う魔物が普通に倒せる強さばかりとは限らない。だから、魔法を使えるようにして戦力強化をしたい。派手な魔法で魔物を倒したりしてみたい。

本音としては、憧れ続けてきた超常の力である魔法を使ってみたい。この世界に存在しない、物語の中にしかない魔法。ファンタジーの世界にしかない幻想の力、この不思議な力を揮ってみたい! 

後、戦闘の興奮状態が冷めて、無視していた痛みが体に襲いかかっている。……早く魔法で回復したい。


さっそく、魔法の練習をしよう――

でも、その前に道のど真ん中でやっていたら、魔物に襲われる可能性が高いし、そんな状況じゃ魔法に集中できない。

ということで、適当な家の窓を割って鍵を開け中に入る。座禅でも組んだ方がいいのかとも思うが、自分が楽にして集中できたらいいだろう。


リビングに置いてあるソファーに座り、背もたれに体を預けてゆったりする。

魔法と言っても色々種類がある。詠唱をする魔法、魔方陣を書く魔法、詠唱のいらない魔法。

この世界で使える魔法は、詠唱のいらない魔法だ。大狼や白狼が魔法を使う時に、詠唱をしていなかったからだ。そもそも狼に詠唱はできないだろうが。

カッコいい詠唱をして魔法を放つのに憧れていたのだが残念だ。でも、もしかしたら詠唱をする魔法もあるかもしれない。いっそ、自分で考えて詠唱するか? でも、戦闘中にそんな暇はないだろうなあ。短かったらいけるかもしれないけど。魔法はイメージが大事だと言うし、考えておいてもいいかもしれない。


魔法を使う前に、魔法を使うためのエネルギーである魔力の存在を掴む必要がある。0だった魔力だけど、今は72ある。マントと盾をつけているからだ。盾は手に持っているのも邪魔なので装備している。

ということは、今自分の体になかったはずの魔力がある。と言っても何か変わった様子はない。魔法を使うためにも、今から体の中の魔力を感じられるようにしなくてはいけない。


深呼吸をして心を落ち着け自分の中に入っていくように意識を向ける。右手を心臓の上に当てドクン、ドクンと脈打つ心臓の鼓動を、そこから全身に巡る血を感じる。魔力は、一箇所に留まっているのか、それとも全身に満遍なくあるかはわからないが、魔法を使う時には魔力も動くはずだ。

だから、その流れを意識して魔力の動きをイメージする。左に血を全身に巡らせる心臓がある。そして、右に魔力を流す、幻想の第二の心臓をイメージする。幻想の心臓に全身の魔力を集め、血流に乗せるように魔力を全身に流し、巡り戻ってくる様を鮮明にイメージして体で感じる。


しばらく体を巡る魔力の流れをイメージしていると、確かに幻想の心臓に魔力の存在を感じられるようになる。なんだか不思議な感覚で、本当に心臓が二つになったように、血と魔力が全身を巡っていく。

魔力の存在を見失わないように注意しながら、回復魔法で体を癒すよう、痛覚を刺激する痛みが薄れていきそのまま無くなるようイメージをする。


すると、淡い光が闘真の体を包み傷が治っていく。包帯を外した下から傷一つない肌が現れる。ソファーから立ち上がり、体を動かしてみるが全然痛くない。完全に治っているようだ。

やっぱり魔法ってすごいな、一瞬で傷跡も残さず回復している。

次は炎熱魔法を試してみるか。幻想の心臓の鼓動を意識し魔力を集め、方向性を持たせて伸ばした右手に流す。燃え盛る炎の玉をイメージし、手のひらから魔力を体の外へと解き放つ。


イメージした通り轟轟と燃える火球が生まれ、勢いよく飛んでいき、壁を爆砕する。風通しの良くなった部屋には壁の破片が散らばり、周囲の物を巻き込み炎が燃え上がる。

……ちょっと、ミスった。放つつもりはなかった……いや、嘘だ。本当は家の中にいることを忘れて、火球を放ってしまった。反省も後悔もしていない。

火の手が広がっていくが、他の家までたぶん燃え移らないだろうし、放っておくか。

窓から外に出て、火球を生み出し、魔法の練習をしながら魔物を探して歩き出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ