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第4話 机の上のピクニック
小学生の時は、自分の部屋がなかった。
少し広めの廊下に弟と私の机が並べられていた。
そこが、私だけの空間。
宿題をする、本を読む、お絵かき、塗り絵、フエルトでマスコット作り・・・。
自分で買ったのか記憶にないけれど、ミニバスケットのことを思い出した。
30㎝×20㎝位の大きさで、ううん、もう少し小さかったのかな。
そこに、駄菓子屋さんで買ったラスクのようなお菓子、飴やチョコなどを詰めた。
どこかに持ってくわけではない。
私は、金具をパチッと開けて中を見て「入ってる。」と満足して閉める。
その繰り返しを何度かしていた。
うす暗い場所だったけれど、私の空間は「草原」だった。
優しい陽射しと風、緑が広がる草原の中、シロツメクサやクローバーもあって。
私はフレアーのワンピースに帽子を被り、バスケットを持った女の子。
そんな憧れと想像をしてバスケットの開け閉めを繰り返していた。