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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第2章「内憂」
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第93話

 進軍を始めてから、すでに予想されていたようで、ホーンラル公爵からの散兵がたびたび襲ってくるようになっていた。それを倒しつつ、ルイスらはさらに進軍を続ける。その中で、地元の温泉を懐かしく思うようになっていた。


 温泉街は、シュトールが中心となって、今も繁栄を続けていた。あちこちで商売の声が聞こえ、特産品として知られるようになった化粧品や、農作物を売り、それによって税収を得ていた。しかししばらくの間、税金を少なめにすることと決めていた。それは、その方が領民が喜ぶということを知っているからだ。ただ、それを考えたのはシュトールではなくて、クリスであった。

 ルイスの不在の間、この町やルイスの土地管理については、シュトール、クリス、エルラの3人が作る合議制の機関に委任されていた。彼らはこのホピング温泉街が永続的に運営できることを前提として、ルイスが生活をすることができるようにすることを考えて、都市計画を決定していた。今や温泉街は宿だけで40を超える。泉源は3つあり、その全てをルイスが管理している。この泉源から、それぞれの宿へと、規模に応じて分配されることになっていた。この分配については、ルイスが長となるホピング温泉街協議会によって決定されることになっているが、ルイスがいない今、シュトールが代理の長となっていた。

「では、ホピング温泉街協議会を開始する。何か、議題はあるかな」

 シュトールは、役場の会議室に協議会員を集めていた。月に1回、定期で開催される会議だ。この会議で、温泉街全体についての話し合いをすることにしている。議題を求めたシュトールに、ある宿の店主が手を挙げた。

「どうかしたか」

 協議会の古参の人だ。

「実は、うちの宿から、身に覚えのないものが見つかって……」

「身に覚えのないもの?」

 それはなんだ、とシュトールが聞くよりも先に、ゴドっという重くて長いものをテーブルへと置く。袋に包まれているそれを、丁寧に取りだすと、刀だった。

「武器か」

 シュトールが聞くまでもなく、これは武器だ。

「そうなんです、いつの間にか武器庫のようなものが作られていたんです」

「それについては、調査することにしよう。次回の会議で結果を発表したいから、そうだな……」

 少し考えて、シュトールは時期を区切った。

「2週間後、臨時の協議会を開こう。それでいいか」

「ええ、構いません」

 彼が返事をすると、他の者は素直に従った。

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