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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第4部「戦国時代」:第1章「大抜擢」
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第88話

「また、遠くにある国も気になる」

 公爵が続けて話している。

「遠くにある国、というのは、イザアワ王国のことでしょうか」

 ルイスが公爵へと尋ねた。おや、という顔とともに、公爵が答える。

「そうだ。先王のまたいとこによる王国で、あそこも領土拡張を狙っている。むしろ、狙っていないところはないだろう。我々も、国土の守りは固めなければならない」

 国土、そう言った。公爵が、領土ではなく国土と言ったのは、すでに自らが国であると宣言するに等しい。まだ、身内しかいない部屋ではあるが、それを言葉として発したからには、公爵はすでにダッケンバル王国の貴族という意識はないということになる。

「また、ルグセンラール王国も、我々のことを虎視眈々と狙っている。彼らは異教徒であり、我々とはイデオロギーとして対立する国の一つだ。もっとも、他の異教徒国は我らと比べて圧倒的に戦力差がある。唯一、ルグセンラール王国のみが、我らと対抗することができるだろう」

 ルイスらがいるダッケンバル王国は、その国教をホルリー教に定めている。ホルリー伯爵が最高指導者であり、そのために伯爵は国王の戴冠式において神の代理人という名目で戴冠を授ける役を務めている。

 一方でルグセンラール王国は、ラングスター教と呼ばれる多神教である。ルグセンラール王国の国王は、ラングスター教の最高神であるラングスターによってこの世界を統一し、統治するように命じられたという伝承がある。

 ただ、ルグセンラール王国は、現在のところはダッケンバル王国と同盟を結び、互いに不可侵であることを約している。それが、このたびの内戦によって反故にされるということは十分にあることだ。公爵が言いたいのはその点であり、反故にされたことはつまり、ダッケンバル王国領内へと攻めてくるということを意味する。これによって領土が切り取られていくのは、看過できないことであった。

「これが、現状だ。我々はその中で一番にならなければならない。分かるな」

「はい、十分に承知しております」

「よし、では、副隊長として様々な行事に参加してもらわなければならない。ケルトン団長、早速で悪いが、指示をしておいてくれないか」

「はい、公爵閣下」

 騎士団長のケルトンが、45度のお辞儀をして公爵へと敬礼した。

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