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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第4部「戦国時代」:第1章「大抜擢」
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第86話

「副団長殿ならびにその妻が参内なされました」

 団長補佐が扉の内側の両脇に立ち、部屋の中側へと叫ぶ。幹部が勢ぞろいし、さらには部屋の壁には、幹部を取り囲みようにして団員の中で選ばれた者が立っていた。

「入りたまえ」

 騎士団長が命ずる。すぐにルイスは一歩部屋の中へと入ると、団長補佐によって扉が閉められた。

 ルイスへと口を開けているコの形状に机が並べられていて、ルイスと真向かうような位置に団長が、左右は今は空いているが、そこには団長補佐が座るようだ。部屋の中央にある椅子は、ただ一つ、そこにルイスが座ることは明白である。ランゲルスは、壁際で待つように団長補佐から指示があった。

「そこへかけなさい」

「はっ」

 ルイスは椅子の右隣に立ち、頭を深く下げてお辞儀をしてから、ゆっくりとした動作で座った。それを見て、周りは静かになっている。一挙手一投足、全てが評価の対象であり、ここにいる全員が、ルイスの品定めをしている。口では副団長と言いつつも、本心から尊敬できる上司となるかは、全くの別問題だからだ。

「さてルイス・プロープグナートル。君がここに呼ばれた理由は分かっているね」

「はい、団長殿」

 当然のことだ。ここで行われる就任式についてのことだ。他には、おそらくない。

「貴殿は、この度、本騎士団の副団長となる。分かっているね」

「はい、団長殿」

「よろしい。それでは、立ちなさい」

 椅子からじわじわと立ち上がる。それから団長が団長補佐2人と、他にはルイスがこちらに付き添ってきていた警護役のうち2人がルイスの周りに立った。

「4人に問う。この者は、ルイス・プロープグナートルに違いないか」

「違いありません」

 全員が同時に叫ぶ。

「4人に問う。この者は、この騎士団の役職付きになるにふさわしい騎士であるか」

「そのお言葉、疑いようもありません」

 全員が、これも同じように同時に叫ぶ。

「4人に問う。この者は、全員の上に立つべきものであるか」

「そのお言葉、まさに素晴らしく思います」

 全員が、これも同じように、タイミングもそろえて同時に叫ぶ。

「よろしい。では、ルイス・プロープグナートルよ」

「はっ」

「この時、この者らの前において宣言する。この者を、このマウンダイス公爵騎士団において、副団長とする。また、公爵が栄誉の源泉であるとして、赤獅子勲章を授ける」

 赤獅子勲章は団員であるメンバー、将校とされる団員であるオフィサー、騎士団の幹部となるコマンダー、勲章の最上位であるグランドクロスの4段階に分けられており、今回ルイスに授けられたのは上から2番目のコマンダーであった。なお、グランドクロスは団長と名誉団長のみとなっている。

 このようにして、つつがなく、就任式は終わった。

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