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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第3章「反乱」
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第79話

 一人の騎士が、早馬で駆けていく。その騎士は、速さを求めるあまりに、自らの証となる巻物を一通懐に忍ばせるのみであり、防御はとことん減らしていた。そして、その騎士は、あるところへと急ぎのようで向かっていた。その場所こそが、ルイスがいる渓谷である。

「マウンダイス公爵閣下より、書状を持ち、馳せ参じました」

「ご苦労様、書状を読む間、休憩をしなさい」

 すぐ横で立っていた見張りの警備員にルイスが命じて、その伝令の騎士を休ませるために町役場の中に通させた。そして、ルイスも玄関から建物の中に入りつつ、その手紙の封印を解く。

「……そうか」

 ルイスはそれだけつぶやく。そしてすぐにいつもの面々であるランゲルス、エルラ、シュトール、クリスを呼ぶように近くにいた警備員に指示を出した。


 5分とかからず全員が執務室に集まることができたのは、それぞれがたまたま町役場の中にいたからだ。クリスが最後に執務室に入り、ドアを閉める。すでにルイスは執務椅子に座っており、初めにやって来たランゲルスへと手紙をみせているところであった。

「詳しくは手紙に書いてあるからそれを読んでもらいたい。みんなは、すでに知っているとは思うが、ダッケンバル5世陛下が乱心され、反乱を起こされた、ということが手紙には書かれている。そして、ホーンラル公爵閣下がその首魁であるということも」

「ということは、とうとう……?」

 クリスがルイスへと聞くと、そうだ、と頷きながらルイスは答えた。

「マウンダイス公爵閣下は、ご決断なされた。我々はダッケンバル王国から抜ける。これからは戦乱の時代となるだろう」

 すでに話し合った通り、ルイスらはマウンダイス公爵が反乱を起こすと決めた時には、そこに合流するということにしていた。そのため、ここでは大きな混乱もなかった。


 話し合っている間、廊下を誰かが駆けあがってくる音がする。誰何(すいか)することも、どうやら警備員らはできていないようで、その証拠に騒動の報告がない。ルイスが4人に指示をして廊下側の壁際へと立たせる。不審者だった時、そこから取り押さえることができるようにしたのだ。

 ノックの音は、まるで誰かを殴りつけているように乱暴であったが、ルイスが返事をすることもないまま、ドアが蹴飛ばされてあけられる。

「……ドアの修理代はいただきますよ。いかに先輩とはいえ、これはひどい」

 そこにはエンディケールが立っていた。

「ルイスは、聞いたか」

「何をでしょうか」

「知ってるだろ」

「確認ですよ。反乱を起こされた公爵閣下らの話でしょう」

「まさにそれだ」

 会話している間に、息も整ってきたようだ。また、エンディケールだったということもあり、4人は再び机の周りに集まっていた。

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