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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第3章「反乱」
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第78話

 国王の元には、次々と国王の臣下から離脱したという知らせが入っていた。

「何がいけないというのだ。私は、私の生きたいようにしているだけだぞ」

「左様です。して、離れた者には何を?」

 審議院と呼ばれる組織が、国王の直属の機関としてあった。元は公爵会議と呼ばれたものであったが、離脱していく公爵らによってその機能は停止寸前となっていた。そのための代替の組織である。いまだにダッケンバル国王の元にいる爵位者のうち、国王が指名したものが審議委員として会議を行っている。国王に質問をしている者は、審議院院長だ。無爵位者ではあるが、今となってはもっとも国王に近い人物の一人である。

「昔から反乱者はどうなっているかは決まっているだろう。当たり前のことだ」

「では、首魁は斬首ということになりますが、それでよろしいでしょうか」

「ああ、構わぬ」

 審議院院長が国王の裁可を受けて、命令書を作成していく。羊皮紙に羽ペンを走らせていった。

「ふぅ」

 一息つくころには、すでに命令書は仕上がっていた。命令書はすぐに国王の元へと院長が直々に持っていく。

「陛下、少々お時間よろしいでしょうか」

「なんだ」

「命令書ができました」

「読み上げてみろ」

「はい。『国王陛下は、ご自身に拠る権限に基づき、審議院院長に命じてこの命令書を作成させた。第一に、この度起こった反乱は、国家に対する反逆であり、国王に対する大逆である。第二に、大逆と問われる者は、別に定めるものとするが、国王及び審議院院長によって変更することができる。第三に、大逆と問われる者については、斬首の刑とする』。これでいかがでしょうか」

「構わぬ。今のところ、大逆となるべきものは、ホーンラル公爵だな」

「ええ、ただ、他の公爵も順次指定することとなるでしょう」

「それほどに切迫しているのか」

「ええ、残念ながら」

「……ならば仕方あるまい」

 国王は、静かに、とても静かにそう呟いた。

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