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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第3章「反乱」
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第76話

「時は来たっ」

 宣言するのは、ホーンラル公爵である。公爵領の居城にて、ホーンラル公爵騎士団の騎士団長とともに、居並ぶ民衆や騎士団員などに話していた。ダッケンバル王国では、兵士や新任騎士の訓練所長を担当しており、その訓練総隊長がホーンラル公爵騎士団長であった。騎士団長はホーンラル公爵よりも10歳年上で、公爵がその爵位につくよりも以前から騎士団長をしていた。そのため、師弟関係にもある。公爵は、国王よりもこの騎士団長を篤く信任しているため、この反乱も後世では騎士団長がバックにいたのであろうとされている。この時からその噂があったものの、本当かどうかを確かめる術はなかった。

「現在の国王は、国のことを省みることなく、その私腹を肥やすことに傾注している。我々は、そのような国王へと忠誠を誓うことはできない。忠誠という前提が崩れた今、我々はダッケンバル王国からの独立を宣言する」

 その宣言は、万雷の拍手に迎えられた。ホーンラル公爵への長い拍手は1分ほど続いた。両腕を広げて、全員からの拍手を一身に受ける公爵を、騎士団長は何やら冷ややかな顔で見ていた。

「それでは、我らの騎士団長からも言葉をもらおうではないか」

 立っていた騎士団長は、考えながら歩き、演台へと立つ。居並ぶ民衆や団員を見つめつつ、落ち着いた口調で話し始めた。

「君らはきっと不安だろう、怖いだろう。口には出せなくとも、それが現実となれば、それは当然の反応だ。それは、私も同じこと。独立を宣言したからといって、彼らが認めるとは限らない。むしろこちらを攻めることになるだろう。しかし、不安は、恐怖は、それを乗り越える力を得ることで打ち負かすことができる。勇気で、仲間で補い、高め合い、立ち向かうことができる。君らは一人だ。この恐怖に勝てるか、この不安に勝てるか、それは私ではない、君ら一人一人の心に勝つということでなければならない。私がそれを強制することはできない。だが、ここで約束しよう。私と来た者は、それに打ち勝つ勇気が、仲間が得られると。そしてここで堂々と言おう。我々はその力を持っていると!」


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