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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第2章「重税」
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第73話

「敢闘団員様、徴税の知らせに参りました」

 徴税士が、ルイスの役所の玄関で挨拶をしている。笑顔の徴税士に対して、渋面を作っているのはランゲルスだ。

「またですか。つい1か月前にも支払ったはずですが」

「国王陛下からの御命令ですので、お支払いいただかれない場合、国王陛下から罰を受ける可能性があります」

「……わかりました」

 これも何回目のやり取りだろうか。少なくとも5回は繰り返している。ランゲルスが徴税士と徴税物を運ぶ人夫らを役所へと入れ、案内する。

「おい、運び出せ。2割だ」

「まさか。先月は1割だったでしょう」

 ランゲルスが言ったとたんに、徴税士はにらみつける。

「国王陛下の御命令ですので。これでも我々は心が痛いのですよ」

 嘘つき、という言葉をランゲルスは飲み込んだ。顔はにっこりと笑っていたからだ。それも、満面の笑みに近い者がある。この徴税士は、どうやら私腹を肥やすために徴税の一部を着服しているように思えた。だが、ルイスの妻であるというだけで爵位をもっていないランゲルスは、何も言い返すことができない。言い返せば、国王からの罰が待っているのは明白だからだ。だからこそ、徴税士は節度をもって好き放題する。

「ふむ、これで全部ですか」

「ええ、全部ですとも」

 金銭を溜めこむための倉庫はたくさんある。だが、すでにそのいくつかは空になり、蜘蛛の巣が張っているほどだ。徴税の頻度が上がるということは、それだけ多額の金銭を国王が持っていくということであり、それが不満を生んでいる。それを国王は全く知らないだろう。ただ、自らの欲のために、税を集めるのであれば、いずれ瓦解する。それを分かっていて、マウンダイス公爵は、半年ほど前にルイスたちへと相談をしていた。

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