第6話
「ルイス!」
マウンダイス公爵が離れてから、ルイスに声をかける人がいた。幼馴染の面々が、そこには立っていた。
「よかった、生きてたんだな」
返り血で汚れているせいか、だれも握手すらしようとはしない。だが、5人は再び出会うことができた。これも、神の贈り物であろう。
「どこにいたんだよ、途中ではぐれるから、探そうと思ったんだがな」
「そう言いながらも、ルイスってば、どんどんと行っちゃうじゃない」
ランゲルスが、怒りながらルイスに言った。
「でもさ、すごいじゃん」
その二人にシュトールが割り込む。
「そうだよ、勇士見習いだろ。普通はなれないからな」
クリスがさらにたたみかけるように言った。
勇士になるためには、まず勇士見習いとなる必要がある。これは、勇士の息子がなるのが通例であるが、今回のように、勇士団の上司というべき公爵が自らの意志と権限によって、勇士見習いを任命することができる。
見習いになれば、時宜を見て、首都にある学校へと入校することになるが、それはもっと後になるだろう。今はまさに戦争の終盤であるからだ。そして、そのきっかけをつくった本人がいなくなることは、考えられないからだ。
「整列!」
1日その場所にとどまってから、マウンダイス公爵が騎乗して全員を集めた。ルイスは、整列している列のうち、先頭に立っている。勇士見習いとなったからには、ここで先頭をきって突撃をしたいと言うルイスからの要請だった。
「これより、敵の重要拠点を叩く。第1先陣として、ルイス・プロープグナートル勇士見習いを指名する。やってくれるな」
「はい閣下。この命にかえましても、先陣者としての名誉とともに、突撃をかけます」
おそらくは、こんなことをしているから勇士や敢闘はいなくなっていくのだろうと、心の中でルイスは感じながらも、教えられたとおりの言葉を公爵へ述べる。
「よろしい、ならば出発だ!」
マウンダイス公爵が先頭となり、続いて幕僚たち、それからルイスが続くと言う形で、一行は敵の領域の中へと進軍をはじめた。