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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第6章「温泉と警備」
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第65話

 警備隊は、通常、公爵領の城や砦、ホルリー伯爵などの特定の人物や爵位を有する者を対象にして設置される。これらは、公爵騎士団が兼ねることがほとんどであり、純粋な警備隊はホルリー伯爵警備隊のみである。温泉街を警備するための警備隊が、一敢闘団員に認められるとは到底思えない。

「しかし、これほどまでに栄えているのなら、誰かに口添えを頼めば……」

 そういうエルラだったが、ルイスは少し考えていた。

「それならば、一人、当てがある。とはいっても、それでいけるか判断できないけどな」

 ルイスはそういって、椅子に深く腰掛けた。そして、手紙を書きだす。手紙用の便せんは、机の右側一番下の引き出しに入っていた。すでに勇士団員用の便せんではなく、敢闘団員用の便せんへと切り替わっている。そこへ、自身の嘆願書という名目で、ある公爵へと手紙を出すことにした。当然、マウンダイス公爵である。彼ならば、なにかいいアイディアがあると信じているからだ。

 書き終わると、便せんを封筒へと入れる。これは爵位者全員に配給される封筒で、口を専用の蜜蝋で固定することができるようになっている。蜜蝋の色で爵位があらわされている。ルイスは準爵という爵位の中で最下位のところに位置しているので、黒色が蜜蝋の色となっている。専用の蝋燭で垂らし、口を固定したうえで、すぐさまメダルでシールする。このメダルは国王から準爵になった時点で授与される敢闘メダルと呼ばれるもので、同時に胸に佩用するための小綬を賜ることとなる。正装時にはこの小綬を佩用する。

 封筒の口を蜜蝋で固定すると、表書きをしてからそれをエルラへと渡す。

「郵便がいるはずだから、渡してくれ。マウンダイス公爵閣下へと送るように」

「わかったわ」

 エルラは手紙を受け取ると、すぐに執務室を後にする。ルイスはますます深く椅子へと腰かけていた。この手紙で何かが変わるということになるかもしれない。でも、それがうまくいくかどうか。ルイスにはその確証がなかった。

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