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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第6章「温泉と警備」
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第64話

 書類の決裁が終わったのは、シュトールがやってきてからさらに2時間後だった。インクも、最初はなみなみと入っていたのにもかかわらず、今や半分以下の量となっている。コロンと書き切ったペンを机に転がすと、まずは執務室から出た。少し、休憩を入れようとしているようだ。

「ルイス様」

 部屋から出て、3歩と歩く前に声をかけられる。その声は後ろからだった。ルイスが少しためらってから振り返ると、エルラが立っていた。

「少し、お時間よろしいでしょうか」

「では、執務室で」

 ルイスは先ほど出てきた扉を再びくぐらせる。エルラにくぐらせてから、ルイスがゆっくりとした足取りで扉をくぐり、後ろ手で閉めた。


 ルイスがまだ温もり残る執務机に座ると、エルラはわずかに遅れて向かい合うように置かれた椅子に座る。ついさっき、エルラが壁際にあった木製の椅子を持ってきたのだ。

「それで、どうした」

 廊下では明らかな上下関係が見て取れたが、執務室内では、ただ二人だけしかいない。だから、敬語も取れて、幼馴染の間柄に戻る。

「実は、いろいろと家や店の建築確認をしてたんだ。そうしたら、私が作らせていない部屋を持った家があったの」

 温泉街はいまだに巨大化を続けている。その一方で、温泉街としての景観を維持するために、一定の規模の店や家、全ての温泉施設、宿泊施設は承認を受けないと建てれないようになっている。本来はルイスがその承認のためのサインをするのだが、それが困難のため、エルラが代わりにルイスから権限の一部を委託されて行使するという形でサインをしている。

「どの施設だ」

「丘上温泉てところ」

 ここから見えるよ、とエルラが言うものだから、ルイスは椅子から立ち上がり、窓へと近寄る。ほらそこ、とエルラが指差す。赤い屋根が目を引くその温泉施設は、書類によれば、とある子爵が作ったもののようだ。

「そういえばな……」

 ルイスは、シュトールの話をエルラにする。それをエルラは聞き終わってから、一つ提案をした。

「ここの温泉街は、どんどん大きくなってるわ。いずれ、私たちがどうこうするということができないぐらいに。だから、ここで一つ手を打っておかないといけないと思うの」

「どんな手だ」

 窓から景色を見ながらルイスが言う。すでに谷の4分の3は建物で覆われ、その中央には白いレンガのような石で舗装された道が通っている。道で挟むように川が流れており、この川が最初から流れていた温泉が湧出している皮である。今は足を浸ることが出居るように、川辺には椅子が何十個と置かれていたり、石でできた長椅子が置かれている。

「警備隊を作るのよ」

 エルラがルイスへと話した。

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