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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第5章「戴冠式」
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第60話

「君も、敢闘団に入ることになったのか」

 会館が面している広場の一角、今日は非常ににぎわっているオープンテラスの喫茶店だ。普段の倍以上の人が利用しているようで、どうにかルイスたちは席を確保することができた。

「はい」

 周りはとても輝いているように見える。それもこれも、新たな王の即位のためだ。戴冠式のため、天が喜んでいるかのように空が青く感じる。その下で、ルイスはエンディケールに相談をしている。

「まあ、君の活躍からみても、当然のことだろうな」

 コーヒーを一杯、ブラックの砂糖なしでエンディケールは飲む。エスプレッソではない、アメリカンだったものだったが、濃縮されて、元のブラックコーヒーに似たような味わいがする。

「そうでしょうか。私のような者、まだまだ諸先輩には……」

「勇士になって以来、史上最多の納税を行い、ある谷を一大観光地、湯治場へと変貌させたというのにかい」

「それでも、です」

「それでは、君は敢闘団員になるつもりはない、ということなのかな」

「いえ、それは……」

 ルイスは言いよどむ。敢闘団員になるというのは、ある意味で夢のようなことだ。なにせ、勇士団員で終わるという人も数多くいる。さらに、敢闘団に入るというのは、爵位持ちの子弟というのが多い。

「君の後ろには、公爵がいる。それは分かっているだろ?」

「はい、閣下には常々お世話になっておりますので」

 当然、この会話でいうところの『公爵』は、マウンダイス公爵のことである。公爵会議の中でも、一二を争うほどの実力者だ。そのような人の話ならば、断ることはできない。

「……そもそも、私に断る、という選択肢は残されていませんね」

「その通りだ。もしも、それを覆したいというのであれば、君自身がそれを覆せる地位につかないといけない。矛盾しているようだがね」

 つまりは、国の頂点、あるいはその側近中の側近になることだ。それが必要だと、エンディケールは話している。それを分かりつつも、ルイスはその点について何も言うことはなかった。

 それは、すなわち、国王への反逆を意味しているからだ。

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