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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第5章「戴冠式」
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第58話

 ルイスが公爵の邸宅に帰ると、フルリオが出迎えてくれる。

「勇士様、すでに準備は整っており……それは?」

 周りの目もあって、フルリオはルイスへと敬語で話しかけている。だが、それよりも、先ほど店で買った17年草なる植物の実にフルリオは興味があるようだ。ルイスはそれに気づいて、簡単に答える。

「いつもの店で買ったものだ。イザアワ王国に自生していると言われる17年草の実らしい。まあ、あの店主のことだ。どこまで本当かわからないが、面白そうだったから買ってみた。後で食することとしたい」

「では、まずは庭師に相談し、食用可能かを確認します」

「頼む」

 フルリオは、ただ、庭師へと向かう前にルイスへと教える。

「そうそう、公爵閣下がお探しでした。なにやら大切な用があるらしいです」

「閣下が?」

「はい、公爵閣下です」

 直々にお声がけいただきましたので、間違いないですとフルリオはさらに続けて言った。ルイスは、それに対してそうかとだけ答えてフルリオと別れた。


 メイドや従僕などに話を聞いて、ようやくルイスは公爵を見つけた。彼は、温室の中にある円形テーブルのすぐそばに立っていた。テーブルには右手をつき、誰かと話している。入っていいものかどうか悩んでいると、ルイスを公爵が見つけた。

「ルイス、こちらへ」

「はい閣下」

 後ろ向きになっていた人は、公爵がルイスを呼んだ時点でルイスの方向へ向き直った。

「紹介しておこう。彼は我が私的騎士団団長だ」

「勇士のルイス・プロープグナートルです。初めてお目見えいたします」

「団長のケルトン・ノモスだ。噂は聞いている。以前の戦争において著功(ちょこう)をしたとか」

 彼がそうなのかと団長が公爵に確認をする。ああ、と公爵は答えた。

「素晴らしいと思わんか。ルイスの勇士団領は、なにもない岩山だった。だが、それを国内有数の温泉街へと成長をさせた。莫大な金が入ってくるぞ」

「あの、私に何の話でしょうか」

 会話の内容が全くついていけず、とうとうルイスは2人に尋ねることにした。

「ああ、すまんな。ルイス、君はここ10年で最も優秀な勇士団員だ。誰もが認めるものであり、公爵会議でも一致した結論となった。公式にはまだ発表はされないが、あの土地は、勇士団領から敢闘団領へと昇格されることとなった。それに合わせて、ルイスには、敢闘団員、準爵の爵位が与えられることになる」

「誠にありがとうございます。しかし、私がそれを受けていいものかどうか……」

 突然の話に、ルイスは困っている。団長がルイスへと、これからの指針を示してくれた。

「君の先輩に相談するもよしだ。確か、エンディケールだったか」

「はい、私の先輩勇士団員になります」

「今回の戴冠式において、陞爵されるのが複数名いる。エンディケールもその1人だ。君と一緒に勇士から敢闘へと上がることが決定している。彼に相談するのも一手だな」

 さらにルイスは結婚もしている。まだ子供はいないが、いずれできるとみんな信じている。妻に相談するというのもありだし、またフルリオに話すということもいいだろう。ルイスの頭の中では何人かの顔が浮かんでは消えていた。誰に相談するべきなのか、そして、やはりというべきだろうか、同じ気持ちになっているであろう人に尋ねることにした。エンディケールだ。

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