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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第3章「王の死去」

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第50話

 どうしようかと悩んでいるフルリオに、エンディケールは声をかける。

「君はこれから、2日後に戻る必要がある。さっきの口告人が言っていた通りだな」

「はい、分かりました」

 フルリオは、段々と騒がしさを取り戻しつつある食堂の中で、エンディケールと話し合っていた。

「我々はここに留まらなければならない。君は通知人として派遣される。馬や必要なものについては貸与してくれるはずだ」

 とは言ってもだ。とエンディケールはなおも続ける。

「実際、名代で来ている者は、当人への通知のみが担当となることが多い。他のところへ行くということは、よほど密集していない限りはないからね」

 エンディケールの前に座っている勇士がさらに話す。

「そりゃそうだ。見も知らぬ人が突然、「国王陛下が崩御あらせられた。直ちに王都へ来い」なんて言って、信じないからな」

 実際にところ、ルイスが今いる勇士団領は、周囲は、男爵領と子爵領、ちょっと離れたところに公爵領がある。勇士団領は、それらを乗り越えた先にあるため、近隣の勇士団員はほぼ見ない。エンディケールは、その稀なご近所さんに当たるわけだ。

 エンディケール本人がすでにここにいるため、エンディケールがいる勇士団領へは通知人が派遣されることはない。一方で、ルイスはフルリオが名代としているため、フルリオが措定の通知人となる。


 翌日、口告人から名代全員に通知があった。前日と同様に食堂に集められた名代たち一人一人に、公爵会議の朱色より若干赤色の蜜蝋紋章で封印された紙が渡される。そして、さらにもう一枚。こちらは、同じ蜜蝋で公爵会議からの公文書であるという意味で、紙を開けると右下に貼られていた。

「封印されている書類は、君らが主人である勇士団員へ手渡しをしなければならない。代理人を介す、また本人以外に渡し、もしくは窃盗に遭うなどの場合、その全てにおいて責任を負ってもらう。もう一つのすでに開いている紙についてであるが、こちらは、公爵会議が定めた事柄により、この書状を持つ者が通知人であることの証明書である。この証明書により、通知人には無害交通権が保障され、必要な物具を提供することになる。この証明書の期限は、国葬が終了するまでである。それまでに、通知人としての責務を果たせ。では、良き旅になるよう」

 口告人が、それを言い終わるとすぐに名代たちは通知人となった。フルリオは、翌日、勇士会館とエンディケールに別れを告げ、ルイスの元へと向かった。

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