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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第3章「王の死去」
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第48話

 勇士会館には宿泊施設が併設されている。フルリオとエンディケールは、運がいいことに、同室で泊ることができた。夜も更けてくると二人は宿泊施設へと上がった。

 部屋は4階にあった。ベッド2つに、服をかけるためのタンスが1つ。それ以外には窓ぐらいしかない。ツインベッドにそれぞれが寝そべると、 どうにか足がはみ出ない程度の長さであった。ベッドは、木の板を長椅子に載せたような形であり、寝にくさを極めたようだ。また、布団も、なかなかに薄い。これで寝れるのかと思ってしまうような、心もとない布団である。

 ちなみにトイレは各階に2箇所、風呂はシャワー部屋だけが、1階にあった。

「おそらくではあるが、明日には何かしらの発表があることだろう。それを受けて、今後の行動を決めるべきだ」

 ベッドサイドに腰掛け、エンディケールがフルリオに話す。フルリオも、同じことを考えていたらしく、その通りだと思いますと答えた。

「よし、今日はすっかりと更けてしまった。眠ってしまおう。きっと明日も早くから動かなければならないだろうからな」

 薄い掛け布団に身を包み、エンディケールはさっさと眠ってしまった。あっという間に落ち着いた寝息が聞こえる。

「お疲れの出ませんように」

 フルリオが言葉をかけ、それにエンディケールは反応しなかった。


 翌日。午前7時半頃になると二人は起きた。今日はいつも以上に忙しくなる。それはわかっていたからだ。それに、朝食も食べたいところである。二人は階段を降り、1階にある勇士会館の食堂へと向かった。

 食堂はおおよそ200人ほどが入りそうな大広間になっていた。4人一組の机と椅子のセットが、ずらっと並んでいる。食べれるメニューは、AセットとBセットの2種類だけ。Aセットは、一切肉類を使わない、ベジタリアン向けのような食事内容だ。Bは、東方の秘国と呼ばれるところから伝来したとされる、豆腐や穀物を煮込んだものだ。二人は、初めてみるBセットではなく、まだ食べられそうなAセットを選んだ。

 席は自由ということもあり、エンディケールの知り合いと相席することにした。4人のうちフルリオだけが名代としてやってきていた。

「……噂はどうやら正しいようだな」

 フルリオへの紹介もそこそこに、エンディケールが小さな声で呟く。トレイをテーブルに置き、真向かいに座ったエンディケールの知り合いが話す。

「知り合いの男爵閣下から聞いたところによれば、今日のお昼までには布告が出るそうだ。その後は速やかに国葬となるらしい」

「やはりそうか。ならば、早馬を出し、土地の者に準備をさせないとな」

 エンディケールの話を聞きつつ、フルリオは全員が何か落ち着かない雰囲気であることに気づいた。当然だ、と合点する。国王の崩御なぞ、本当であれば見たくないことだ。それも、現在の国王は、賢王として名高い。人々が安全に道中過ごせるのも、宿場町を整備したのも、この国王あってのことだからだ。そのため、みんなの雰囲気が沈んでいるのだろうと考えた。

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