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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第3章「王の死去」
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第47話

 馬を屋外で待たせ、二人はそのまま勇士会館の階段を上がる。中では、全国に散らばっている勇士のうち、6割ほどが集まっているようだ。白い腕章をつけた人も、複数人見える。いつもは騒がしい館内も、今日に限っては、ゆるやかな風が吹いているような、サワサワとしたささやき声だけが聞こえる。

 会館受付では、速報号外と称して、国王が落馬したという情報が印刷物として刷られていた。だが、どうやって印刷したかは、ここでの本論ではない。フルリオは、エンディケールについていき、受付をすませる。名代を示す白色の腕章を、付属している革ひもでずれ落ちないように強く結んだ。

 完全な男性社会であり、女性の姿は見当たらない。名代が何人も来ているのは、落馬した話が本当かどうかを見極めたい者か、ルイスのように正式な通知が来るまで領地で待機しているかのどちらかであろう。エンディケールは受付後に、号外を1部もらい、フルリオについてくるように言った。


「ここが空いてるな」

 エンディケールがロビーの一角で空いているソファーを見つけた。そこに腰を下ろすと、すぐに号外号を読む。

「情報収集は基本中の基本だ。覚えておくといい」

「心しておきます」

 フルリオがそう答えると、エンディケールは号外の内容を要約してくれた。

「どうやら、訓練をしている最中に、馬が突然暴れ出し、そして落馬した。ということのようだな」

 字が読めるかとエンディケールに聞かれて、フルリオは勉強いたしましたからと答えた。ザラザラした手触りで、粗悪品を使っているようだ。そんな号外を受け取り、フルリオもザッと目を通す。一読し、二読し、三読してからフルリオは号外を返した。

「それで、これからどうなると思われますか」

 周りに合わせ静かにしていた声を、さらにトーンを下げてフルリオが話す。

「崩御となれば、国中に号令がかかり、国葬が営まれる。ホルリー伯爵によってな。それから、定められている方式によって、次期国王が決められる」

 現状のところ、次期国王は現国王の息子である。何も変更がなければ、そのまま王太子から国王へとなるはずだ。それは、この場にいるみんなが知っていること。

 知らないのは、次期国王が、神の恩寵篤き者であるかどうか、そして賢王であるかどうかである。

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