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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第2章「領地争い」
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第36話

 最終的に集まったのは、ルイスを団長とし、クリスを副団長、そして領民3人の合計5人で出発することになった。領民は、立会人という役割と、同行者であり、衛兵という役割を兼ねている。

「では、行ってくる」

「行ってらっしゃい」

 領民や他の宿泊者たちに見送られ、ルイスらは首都へ向けて旅立った。本来であれば、全員が乗馬して行進することが好ましいのだが、領民が馬に乗れないということで、今回はルイスが乗馬し、他の4人は歩くということになった。


 出発してから1週間後。中間点より若干首都よりのところにある宿場町へやってきた。ここは、ホーンラル公爵領であり、その中でも最大の都市である。そして、ここは公爵が住む城がある城下町ということになっている。そのため、ホーンラル公爵の紋章である黒バラがそこここにある。ちなみに、黒バラは公爵騎士団のうちのひとつであるホーンラル公爵騎士団も用いている紋章だ。

 宿場町の中の一角、ホーンラル公爵の居城のそばにある脇本陣が、ルイスたちが泊る宿になる。騎士階級と男爵は脇本陣に泊ることが義務となっていて、彼らの付き人も脇本陣に泊ることができるようになっている。ちなみに、子爵以上の子爵、伯爵、公爵と国王の親族は本陣又は居城に泊ることになっている。

「ホーンラル公爵閣下に挨拶をしようと考えたんだがな……」

 脇本陣の中で受付を済ませると、取った部屋で荷物を下ろしながらルイスがいう。おそらくアポも取っていない状態で行っても、門前払いされるのが関の山だろうということで、結局行くことはなかった。

「さて、訴状の確認をここでしておこう」

 ルイスの提案でクリスが持っていた訴状を広げる。領民3人も、一緒に見て意見を聞かせてほしいというルイスの提案によって、横に座っている。

「訴状によると、占有地を侵害されて、あらかじめ計画していた温泉保養地の計画がつぶされて、その分の遺失利益を請求し、温泉地を閉鎖してその人員や顧客を譲り渡せと言ってるね」

 クリスが訴状を簡潔にまとめる。

「しかし、よく分からないな。どうしてこれで訴訟を起こす必要があったんだろ。ここまで大事にしなくてもいいのに」

「それは当人にしか分からないけどね。何か裏があるのかもね」

「その裏を知りたいところだけど……」

 ただ、そのルイスの願いも、今は叶えることが難しそうだ。そう考えると、訴訟をどうやって勝つかを考えていかなければならない。ここで領民の一人がおそるおそる手を挙げてルイスたちへ提案をした。

「あの……一つ考えがあるんですけど」

「どんな考えだ?」

「温泉計画って、本当にあったんでしょうか。それに、占有地ということでしたけど、そもそもルイス様がいらっしゃるところは、勇士団領として陛下から認められた土地です。だから、何をしようとルイス様の自由になるのではないのでしょうか」

「なるほど、確かにそうだ。君の名前はなんだったかな」

「はい、トレイン・ジュピターと言います」

「トレインか、覚えておこう」

 ルイスがそう言うと、おおまかの方針がそこで決まった。

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