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我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第2章「領地争い」
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第34話

 ルイスたちが開湯した聖ホピング温泉街は、周囲の人々から始まり、しばらくは宣伝役により噂が建てられた。半年ほどすると、本当に入った人たちが噂を広めだし、宣伝役も、温泉街で働くようになった。1年もすると、全国にその名は知れ渡るようになり、勇士としては異例なほどの大金持ちとなった。

 しかし、成功の裏には必ず妬みをする者がいる。ルイスたちにも、それは当てはまった。それも、隣接している男爵が、ルイスたちの成功を妬んでいるのだ。


 ルイスたちがいる山とは、数十キロメートルほど離れたところ。なだらかな坂がずっと続いているところに、突然ともいえるだろう感じで、ニョキっと生えた、レンガ造りの3階建ての家がある。ここが、ルイスの勇士団領と隣接しているカラ・リンド男爵の邸宅である。

「新たにきた勇士団員は、何かにつけて、忌々しく感じてしまう……」

「閣下、それは、彼らが、わたくしたち以上に王から目をかけられていることが原因でしょう」

 邸宅3階の窓際。右から左まで一面窓になっている、そんな部屋だ。そこはリンド男爵の執務室となっており、声をかけているのはリンド男爵の執事である。領地では、小麦の生産が盛んであるため、それを売却し、利益を得ている。微々たるものであるが、それでも男爵としての体面を保ち、家族を養うことは十分にできる。だが、それ以上に儲けているルイスをみると、自らの苦労が馬鹿にされたような感情が襲ってくるのだ。

「少なくとも、だ。あと4年間は我慢しよう。それほど経てば、彼らの利益にも陰りが出てくるころだろう」

「では、そのように取り計らいます。間諜は、どういたしますか」

「そのままにしておけ。何か事があった時、必要になるだろう」

「かしこまりました」

 執事は男爵に90度のお辞儀をし、執務室から出た。一人となったリンド男爵は、窓から外を眺め、その美しい街並みを眺めている。

「……温泉かぁ」

 いつのまにか、独り言をつぶやいていた。

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