第270話
「……しかし、どこかに救いはないものか。これではただただひどいことになるばかりだ」
「救いはあります」
静かに、それでも占い師は断言する。
「どんな内容だ」
ルイスが尋ねると、占い師はゆっくりと右腕を上げて、ピシッとルイスを指さした。
「閣下です。星の動きに逆らわず、適切に選択をし続けると、閣下は星の動きによって極まりなく運勢は上がり続けます。それこそほかの人らが味わったことがないような高みに到達することだって夢ではないです。閣下こそが、この世界の救いなのです」
「いやいや、マウンダイス陛下はどうなるんだ。陛下を超えることなんてまかり通ってはいかん」
「私はあくまでも星の動きを見ているにすぎません。閣下がその星の動きに沿わなければ陛下については安泰でしょう。しかしながら星の動きから見るに、恐らくは周りがそれを許すことはなく、半ば強制的に星の動きに沿って動くこととなるでしょう。それこそ、閣下が思っている思っていないにかかわらず、です」
それが結論ということらしい。
本当になるかどうかは、これからわかることだったが、ともかくルイスの運命はそんな超幸運の星のもとに動くこととなるようだ。




