第265話
ざわざわとしている占い師の周りには、次は俺だ次は俺だと順番待ちをしている人の群れがある。
その群れの後ろについて、ルイスたちも順番待ちをしていると、占いが終わった占い師が、さて、と手を叩いてあたりを一斉に静かにして見せた。
次だ次だと占い師の前に座ろうとしていた人らはそれを聞いて、すぐに動きを止めた。
「今回は、特別なお客様が来られました。まずは彼を占わなければ不遜というものでしょう」
そしてルイスを名指しする。
「ルイス・プロープグナートル宰相閣下。どうぞ、こちらへ来てください。まさか、お逃げになるつもりはございませんでしょう?」
煽られている。
ルイスは明確にそれを認識した。
これが戦場であれば刀の錆にするところではあるものの、ここで刃傷沙汰となれば悪いのは一方的にルイスだ。
それを避けるために、あえてかき分けて占い師の前に出てきた。
店主は少し遅れてルイスを見守るためにやってくる。
「どうぞ、おかけください」
ルイスは促されるままに、背もたれがない薄汚れた丸椅子に腰かけた。




