第24話
「陛下っ」
ルイスが反応するよりもわずかに速く、首謀者は国王へ切りかかっていた。だが、それは一瞬のこと。国王はルイスの目にもとまらぬ速さで、剣を鞘から抜き、首謀者を切り捨てた。さらに、ダメ押しで胸に一突き。
首謀者の男は、グッとうめき声をあげ、剣に力なくもたれかかる。国王が剣を首謀者から抜くと、地が地面へと吹き出し、あたりをどす黒い赤色に染めていく。その血の池に、首謀者は倒れ込み、そして二度と起き上がることはなかった。
「さすがです、陛下」
「この都で狼藉を働く者には、当然しなければならない行為だ」
国王は、ぼろ布を取り出し、剣の血を拭い、再び剣を鞘へ収めた。その時、家の中で誰かが動くのが見えた。今度はルイスが剣を構え、中に向かって叫ぶ。
「だれだっ」
「その声、ルイスか」
けほと1回むせ、シュトールが木箱の向こうから顔をのぞかせる。
「シュトールか。何してるんだ、こんなところで」
「私もいるよ」
横からエルラも声を出した。
二人は捕まってから、服をひんむかれそうになったが、その時国王たちが突入をしてきたようだ。そして、どさくさにまぎれ、近くにあったものを利用して、首謀者の護衛だった2人を月倒し、ひもで縛って動けなくしているらしい。
「お手柄だ。褒美をつかわそう」
「えっと……」
シュトールが説明を終えると、国王が二人に話しかけてくる。だが、近くで国王を見るのは初めてということもあり、シュトールとエルラは、この人が誰か分からないようだ。
「このお方が、ダッケンバル王国現国王であられる、ダッケンバル4世陛下だ」
「陛下でしたか」
そう言って、シュトールは頭を下げる。エルラも慌ててシュトールに習う。
「よいよい。向こうもこれで終わったようだ」
国王が家の外へと足を進めると、マウンダイス公爵も、何人も人を捕まえたことに成功しているようだった。ヒモで繋がれた男たちが、順番に引かれている。
「さて、祭りの続きとしようか」
国王はそう言って、捕縛した全員と、この場で協力した一行全員に対して告げた。そんな国王は笑っていたように、ルイスは思えた。




