第23話
「では先に行け」
マウンダイスが兵をまとめ、作戦の教示を終えると、すぐに国王が命じた。それに答えることなく、直ちにマウンダイスは行動へと移す。兵を引き連れ、一気に手前の建物を襲いかかる。敵が気付くよりも先に、まずは先兵を出し、瞬時に倒す。それから、建物の中へとなだれ込んでいった。
それを見たもう一つの方の木の戸の前に立っていた兵は、慌てて持ち場を離れ、マウンダイスが入った建物へと加勢しに入っていく。それを見届けてから、国王がルイスたちとともに、ひそかにもう一つの建物へと侵入した。
「だれだっ」
中はマウンダイス達とは対照的に、比較的静かであった。敵兵は、真先にルイスたちによって切り倒され、床に転がる屍となった。木の箱にドンと腰かけ、声をかけてきた者がいる。その人こそ、今回の騒動の首謀者であった。
「我はダッケンバル4世。貴殿の名は」
「こちとら名前を教える義理はねえな」
そう言って、箱から立ち上がると、背中に隠していた刀を振り上げた。そして、切っ先を国王へと向ける。
「ここで国王が出てくるたぁ思わなかったがな。出てきてくれたちょうどいい。命、もらうぞ」
そして、ダンッと思いっきり床を蹴った。