第219話
戦争が終わって、再び平和が現れた。
しかし、平和と言えども、いまだ戦乱のあとは方々に見受けられる状況が続いている。
「……なんとかせねばなるまいな」
書類の束を机の片隅に追いやりつつ、マウンダイス国王が嘆息する。
「陛下、いかがしましたか」
すぐそばにいるのは、国王専属の秘書ともいうべき執事長だった。
「ああ、この荒廃しきっている現状を憂いているのだ。以前は少なくとも整備されている道路に野党の類が出ることはほぼなかったというのに、今では武装していてもやられてしまう始末だ。いったいどうすればいい」
「この数年来の戦争により、国土の半分は何らかの被害を受けたといいます。特に今我々がおります王都は、僭称王によりかなり手が加えられてしまいました。そのことも含めて、修繕をする必要があります」
「莫大な費用をかけて、な」
ため息はより深く、大きくなる一方である。
しかし、そこでハタと気づいたようだ。
「では執事長、少々手紙を書きたい。蜜蝋と紙を束で持ってきてくれ」
「何か思いつかれましたか」
「そうだ、手が足りぬのであれば、手を借りればよいのだよ。昔からよくある手だ」
そういって、さっそく近くにあった紙の一部を持ってきて、原案を考え出した。




