第21話
集合場所には、さほど人がいない。未だに、遠くで爆発音が聞こえてきているので、それでも多く集まった方なのだろう。そうルイスは結論付けた。
「集まったか」
その声の主は、誰なのか名乗る必要はなかった。砂煙がうすいところなので、近づいてくるのがはっきりと分かる。国王自身が、敵兵掃討のために出陣してきたのだ。
「陛下、わざわざこのような場所に……」
誰かが声をかける。だが、手をあげ、その声の続きを遮った。
「よい。我が居城が侵されているのだ。黙っているわけにはいくまい。なあ、マウンダイス公」
「御意に……」
半歩下がったところで、マウンダイス公爵が、こうべを垂れつつ国王に返事をした。さて、と手を打ち国王は全員に声をかける。
「あらかじめ教わったところによれば、今回の賊の拠点が分かったそうであろう。そして、これは未確認の情報ではあるが、人質が2人かそれ以上いるようだ。皆、心してかかるように」
おうっ、と普通の声量で返事を一同する。それを受け止めて、近くに居たブニークトを呼び、尋ねる。
「場所を案内せよ。この少ないが、精鋭たちの手によって、賊の息の根を止めようぞ」
「はっ」
立膝を付き敬礼をしてから、ブニークトは情報に基づいて国王以下、マウンダイス公爵、敢闘団員2名、勇士団員4名、それに勇士団見習いであるルイスと他3名の軍勢で、できるだけ静かに行動をはじめた。