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第20話
ルイスが駆け込んでくると、すでに戦闘が起こっていた。
「このやろぉっ」
近くにいた覆面男を一閃で切り倒すと、砂煙濛々たる路地を駆け抜けていく。ルイスはこの場で困惑していた。右も左も分からない。どう崩れているかも、今のところ見当がつかない。それでも、ルイスは走っていくしかなかった。行方不明になっている友人たちを探すため。勇士見習いとしての義務を果たすため。
「ルイスっ」
もはやいくら走ったか、いくら敵を切ったか分からない。そこに声をかけられた。声をかけたのはブニークトだ。彼も幾人も賊を切り倒しているようで、肩で息をしている。刃もかなり傷んできているようだ。血糊ですでに満足に機能するかどうかも怪しい。
「先輩、どうしたんですか」
「たった今、賊の一味がアジトにしている拠点と思われる場所が分かった。勇士団と騎士団の一部で急襲をかける。行くぞ」
「分かりました」
ルイスは襲ってくる敵を一発で切り倒しながら返事をした。




