表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我が帝国は、成れり。  作者: 尚文産商堂
第1部「領地獲得」:第1章「召集」
2/276

第1話

「木登りに失敗した俺であったが、人生という木では、無事に上り詰めることができたようだ」

 ――ルイス・プロープグナートル

 未来の皇帝であるルイス・プロープグナートルは、そのとき、14歳であった。幼なじみのシュトール・モノマキアが、その一行を、村の中で最初に見つけた。その日、世界の運命が変わった日、村はとても穏やかで、これから起こることを誰も知らなかった。

「おい、ルイス。誰か来たぞ」

 村一番の古木である、別名「古株」の上に作っていた秘密基地。そこに、ルイスと幼なじみの4人が、ここ毎日の通りに、遊んでいた。

「誰かって、一体誰だよ」

 ルイスが、最初にその一行を見つけたシュトールに聞き返す。

「見てみたら分かるって」

 そこまで言われて、初めてシュトールのところに、ゆっくりと腰を上げつつルイスは向かう。他の3人も、何事かと思い、シュトールが指さしている方向を見た。

「あの旗の紋章って……」

「そ、我らが国王の旗印だよ」

 ダッケンバル王国。それが、ルイスたちがいる村の統治国の名前だ。その名前を意識する時といえば、税金として麦を納める時ぐらいであるが、誰もが見たことがある紋章だ。太陽をシンボライズしたとされている、金色――どちらかと言えば黄色ではあったが――の真円だ。それを、どこから見てもはっきりと分かるように、その紋章を人の背丈の何倍も長い棒の上から垂らしていた。使われている布は陽の光に跳ね返って眩しい純白である。

「なんだよ、また税金の季節か?」

 ルイスがぼやく。税は3公7民ではあるが、その3割も払うことができないことも、年によってはあり得る。なにせ、毎年の税はすでに定額となっており、それを支払わなければ、どこかに連れて行かれてしまうからだ。だが、今の季節は春と夏の間ぐらいの時期。税金を取り立てに来るのは秋も深まった頃だから、まだまだ先だ。

 と、なれば、彼らは徴税士ではない。

「いや、それはないでしょ」

 そう答えたのは、ランゲルス・アラケルだ。彼女は、ルイスの後ろからその行列を見つめていた。

「なら、見に行くか」

 ルイスがそのまま秘密基地から滑り降りていく。

「置いていくなよ」

 ルイスの後に、他の4人も続いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ